…RAKUEN…

□歪みの発露
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女王の城に入っていったアリスはまだ出て来ない。
時間くんを見つけるのは、そう簡単にいかないだろうからね。


僕は城に背を向けて、赤い海を見つめた。

赤い、赤い海。
アリスの心が流した血で出来た海。

アリスの歪みを吸い取り続けている内に、どうしようもない程に歪んでしまった僕は、その赤い海を眺めながらアリスの体を流れる血潮を思う。



あの柔らかな肌に牙を突き立てたら、アリスはどんな顔をするだろうか。

ハリネズミ達に食べられそうになった時には酷く怯えていたから、きっと怖がるはずだ。

僕は怯えるアリスの顔を思い浮かべて、微笑んだ。


愛しいアリス

僕のアリス

怖がらなくていいんだよ。

君の血を、肉を、その全てを、僕が食らい尽くした時、君は僕だけのアリスになるのだから。

僕はアリスを苦しめたいわけじゃない。
アリスを楽にしてあげたいんだ。

苦しい事も悲しい事も全て忘れて、僕だけのアリスであり続けるようにしたいだけ。

シロウサギなんかに渡しはしない。


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