えとせとら

□幽世と幻影の狭間
1ページ/1ページ

ちょっとくらい強引でも良かった
ちょっとくらいの悪戯も許せた
ちょっとくらい軽くても

別に良かった。






















何も無い僕に
色を添えるように

当たり前の様に
キミは僕の中に居て







キミトボクハ

近クテ遠イ。







重ねても重ならない螺旋の様に
ずっとずっと

寄り添いながら
擦れ違って行く。



僕の中のキミは

いつも鮮明で強烈

でも何処か空虚

それは僕が持っているから

キミが掌から溢した其を

拾い上げたのは僕

溢れるくらいの其を持て余したキミは

失くした事に気付かないまま



僕に触れるから



キミの前で揺らいで仕舞う




キミの中の僕は
一体

何を見ているのだろう。

















知らない。

だって。

なくしてしまった。

無くしてしまった。

失くしてしまった。

















亡くしてしまったんだ。

















キミの持っていた沢山の其と

キミが失くした其と



キミと。



決して触れる事無く

交差するように

擦れ違って

堕ちて逝くキミを横目に

昇って行く







今更

そう今更なんだ



選んでしまった。



どんなに叫んでも

どんなに泣いても

どんなに嘆いても







総て

終わって

しまったんだ。







残り香だけ遺して
僕の手を擦り抜けてしまった。

こんなにも鮮烈なのに

残ったのは孤独だけ








鮮やかな絵の具を彩ったのは
キミなのに

其の色をくれたのは
キミなのに







僕から色を剥いだのも

奪ったのも

棄てたのも

穢したのも

















キミだ。



























ちょっとくらい強引でも良かった

ちょっとくらいの悪戯も許せた

ちょっとくらい軽くても良かった

ちょっとくらい嫌われても構わない



ちょっとくらい僕が傷付くのなんて



キミが居なくなって仕舞う事に比べたら



























どうだって良かったんだ。



fin

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ