えとせとら

□今日と明日の狭間で
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月が昇る
闇を照らす

人が眠るその刻に
時間すら眠る

真空の街が
黒曜石に似た棺を聳え
翠煙の立ち込める

漆黒の淀んだ陰が
総てを喰らう



嗚呼

君は此処に生まれ
此処に育ち

僕を喚んでいた



君は今、何を見ている
君は今、何処に居る
君は今、何を想うのか

僕にだけ
密やかに
囁いてくれないか

閉ざされた刻に眠る
君の

哀しみを
孤独を
痛みを
絶望を
苦悩を

君が持っている

歓びと
笑顔は

其の侭に



君の名を冠する

あの黄色く濁る望月に

僕は誓おう

君を奈落から引き摺り出して

終末に背き
総てを手に入れるのだ



君の泪に揺られて
その叫びの子守唄で眠り

そうして
刻は動き出し

明日を迎え
愚かに死に向かうのだ



Fin

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