番外編

□Early Christmas
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- Early Christmas -

 年の瀬も迫り、寒さの厳しくなってきた12月17日。今日も何時もと変わらない、とても穏やかな朝を迎えていた。朝食を終えた彼がリビングのソファーに身を沈め、朝刊に目を通している。私はそんな彼をキッチンカウンター越しに眺めながら洗い物をしていた。

 突如、来訪者を告げる音がリビングに響く。彼は新聞から顔を上げたが、私が出る旨を告げると微笑み、「頼むよ」と言ってまた新聞に目を落した。私はリビングを抜け、玄関を開けてその先にある門を見る。そこには二体の配送用ロボットが立っていた。通常の配達ならば一体で来る筈である。

「高倉様よりお荷物をお預かり致しております」

 先頭のロボットが枯草色の作業帽を軽く持ち上げ、まるで人間の様にそう挨拶をすると、後ろについていた大きな箱を抱えた配達ロボットが頭を下げた。門を開けて所有者情報の確認手続きをし、大きな荷物を受け取る。

「ご苦労様でした」
「お待ち下さい」

 私がプログラム通りの挨拶をし、門を閉めようとした時だった。先ほど手前に居た配達ロボットが私を呼び止める。イレギュラー的な遣り取りに身構えたが、荷物が受け取った箱だけではないのだと説明され、胸を撫で下ろした。大きな物でも持てなくはないが、もし壊れ物だと壊してしまう可能性がある。一度屋内へ置きに行こうと思った。

「一度荷物を置いてきますので、少しお待ち頂けますか?」
「構いません、もう一つも大きい物ですので」

 大きな荷物だと言われたが、見える所にそれは無い。兎に角私は、受け取った大きな箱を屋内へと運ぶことにした。箱はとても大きかったが、重いと言う程ではない。リビングではまだ彼がのんびりと新聞を読んでいた。私が荷物をリビングのテーブルに置くと、彼はその大きさに目を見開いた。

「随分と大きな荷物だね…」
「高倉様からだそうです」



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