- 短篇集 -


□Touch me softly
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"Touch me softly"

『あっ!やっと来たぁ!』
僕は入り口へと駆け寄る。
「おはよう。サスケ」
『お姉さん、おはよ!』
お姉さんは僕の頭を撫でる。
ゆっくり、そして何度も。

お姉さんの指が目蓋を滑る。
おでこを掠めて…
耳の付け根に触れて…
すぅっと耳の輪郭をなぞる。

――とっても気持ちがいい。

僕はお姉さんに触れてもらうのが大好きで、お姉さんの指が僕から離れてしまう瞬間が大嫌い。

『もっと触って!』
僕は離れそうになるお姉さんの指を追って、手の下へと頭を滑り込ませる。
首の後ろから背中へと流れる暖かいお姉さんの手。
――くすぐったい。

『違うの、そこじゃ厭。』
緩く目蓋を閉じて、僕はお姉さんの指を額へと誘う。

『――ん。凄く…気持ちいい』

僕は心地よさに微睡む。
大きくて…
暖かくて…
優しいお姉さんの手が大好き。

『もっと…もっとだよ。ね?お姉さん。もっと僕に触れていて…』

ゆるゆると流れる朝の一時。
甘くとろける優しい時間。


頭にふわりと3回落とされる手。
――おしまいの合図。

はっとして僕は顔を上げる。
お姉さんは笑って僕から離れる。
あぁ…まだ行っちゃ厭なのに。

『お姉さんの意地悪…』

僕は渋々再び目を閉じ、触れられていた余韻に浸る。
早く戻ってきて…
また僕に触れてよ…お姉さん。



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