- 短篇集 -


□Touch me softly
2ページ/6ページ


――もうすぐお昼。
お姉さんが戻ってくる。
「サスケ、お昼だよ」
『待ってたよ、お姉さん!』
――ほらね。

僕は入り口から顔をだす。
お姉さんは僕の頭を軽くワシワシと撫でる。
『もぅ!そうじゃない…』
僕はお姉さんから少し離れる。
――解ってないんだから…

「気分屋だなぁ」
そう言ってお姉さんは僕を残し、食堂へと消える。
『あぁ…待ってよ!』
――ほんと、解ってない。

仕方なく僕はご飯を食べる。
お腹が一杯になって、僕が睡魔に抱かれた頃…お姉さんがそっと僕の顔に触れる。

僕のおでこにかかる髪…
優しく後ろに撫で付けて…
頬の輪郭をそっとなぞって…
耳の付け根をくすぐる。
『……そぅ。とっても好い』
――溶けちゃいそう。

またふわりと頭に3回。
重い瞼を押し上げる。
『行ってしまうの…?』
「お昼寝の時間だよ」
――うん。とっても眠い…


淡い微睡みの中。
足音が近づく。
ぽかぽかした暖かい手。
『ん……っ』
僕は伸びをする。
「まったりしてるね」
微睡む僕をお姉さんは笑った。
――自分だって眠そうな顔してるクセに…もぅ。


午後はつまんない。
お姉さん仕事ばっかり。
時々…
擦れ違い様に触れてくれる。
――全然足りない。

「はい、おやつ」
お姉さんがおやつをくれる。
一口大のドライフルーツ。
僕の大好きなおやつ。
お皿には入れさせない。
お姉さんの手から食べる。
――美味しい。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ