外伝集

姫君と侍女
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 あなたが彼の地に旅立って、一年と半年が過ぎた。時々はこちらに帰って来てはいたようだけど。その姿を私は見ていない気がする。
 私が彼と最後に逢ったのは、いつだったろうか。

「逢いたいなぁ……」

 窓から見上げた空は、こんなにも蒼く晴れ晴れとしているのに。私の心はどんより曇り空。

「……はぁ」

 本日何度目になるだろう溜息を、蒼く染まる空に向かって深く吐いた。






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