◆◇series◆◇

□今日はスパダリお休みです
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今日の赤井さんは、何だか変だ。

何が変なのかと聞かれると……うーん、よくわからないけれど。何だろう、雰囲気?

いつもより……









「なぁ、名前……さむい、」







むぎゅっ、と私にくっついてくる赤井さん。
今の状態はと言うと、私を膝に乗っけたまま後ろから抱き締めて、肩には赤井さんの顎が乗っている。


まるで、ゴロゴロとすり寄ってくる猫の様で、胸の奥がきゅんとする。





いつもなら英字新聞読みながら優雅にブラックコーヒー飲んでるのに。そんでもって「ん?どうかしたか?」なんてクールに問い掛けてくる赤井さんが





「名前はあったかいな…」




私の頬に頬擦りしてる。


何事だ!?











『あ、あか、赤井さん?』

「…………。」

『赤井さん…?』








やっぱりおかしい。
急に静かになって返事が返ってこない。
寝ちゃった?…んな訳ないか。







『ねぇ、赤井さん?』

「秀一」

『へ?』

「秀一」

『え?赤井さん、』

「俺の名前は秀一だ。」








何で自己紹介?なんてボケてみてもいいけれど、恐らく赤井さんが求めてるのは自己紹介なんかじゃなくて、








『しゅ、…秀一さん………?』





名前で呼んで欲しい…ってことかな?






「あぁ、…どうした?」





正解!

嬉しそうなお返事が返ってきた。



どうしたの、本当に、可愛すぎてどうにかなりそうです。







『今日の赤井さん、何だかいつもと違うから……』

「“赤井さん”じゃない、秀一だ」






私の心臓はもうダメかもしれません。







『しゅういち、さん……えっと、何かあったの?』

「別に………どうもしないが?」





そう言いながら赤井さ……秀一さんがチュッと私の頬にキスをした。

……………ん?









あれ?


熱い………?









『ねぇ、赤井さん、……熱くない?』

「…………暑くない。」

『あ、…秀一さん、寒い?』

「……寒い」





またうっかり赤井さん呼びしたらムスッとした声が返ってきたから言い直したけれど、私は気温の高低を聞いたんじゃなくて、







『………やっぱり、』




くるりと振り向いて秀一さんの額に手を当てると、予想通り、






『熱!あか…秀一さん!熱があるでしょ!』

「……ねつ?」





私も動揺してて気付かなかったけれど、頬に秀一さんの口唇が触れた時、もしやと思ったのだ。






『そう、熱があるの!だから…ほら、今日は大人しくベッドで寝てて?後でお粥作ってあげるから…』

「…いやだ」

『……ん?』







聞き間違いじゃなければ、嫌だって……聞こえた?
だだっ子か!………可愛いな…もう…






「滅多に休みが被らないんだ。一日中ベッドで過ごすなんて却下だ。」

『でも、ちゃんと休まないと…』

「名前は俺と過ごすのは嫌なのか…?」






ぐっ……
そんな悲しそうな眼差しで見詰めるのはヤメテ!

いつものクールで色っぽい視線とは違った刺激にクラクラする。







『………嫌な訳ないでしょ』





正面からぎゅっと抱き締めて、私は説得を試みた。






『私だって……一緒にいたいに決まってるでしょ?…でも、体調が悪化して秀一さんが苦しむのはもっと嫌』

「……大丈夫だ。もう治った。元気だ」

『嘘だったら一週間キスもハグも禁止するよ』

「…………なおってない」

『よろしい』









再びムスッとした表情で黙り込んだあか…秀一さんを引きずって布団の中に押し込んだ。抵抗はされなかった。










『………お粥食べたら、一緒にお昼寝しよ?』




この一言で機嫌は一瞬で治った。




「……する。」





素直に頷いた秀一さんに一瞬でハートを撃ち抜かれた。
私は初めてギャップ萌えなるものを理解致しました。





(でも早く元気になってね)(でも…?)
(可愛い秀一さんも好きだけど、いつものかっこよくてクールな秀一さんも大好きだから)(………ありがとう)

照れる姿もレアできゅんきゅんしました。ごちそうさまです。


─fin─
 

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