手枷足枷、愛は鎖。
□始
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「――夜。夜は賢いから、どうにかしていつか、俺を欺くだろう?」
俺は隣に寝転んでいる夜という少年に
目も向けずに言ってみる。
すると夜はクスクス笑って
ちらりと俺を見つめ返して
挑発的に言ってみせる。
「いけないの?」
「……別に。夜はそれでいいけど」
……全く。
俺にこんな口の利き方をする奴隷が、他にいるだろうか。
俺は夜のそういうところが気に入っている。
いつでも挑発的で
学校には行っていないけれど
頭の良い夜。
さらにそれに足して
どこか妖艶な雰囲気を持ち合わせた夜。
夜、とは俺の付けた名前であるが、夜はそれを好んで他の者に名乗る。
俺は夜の
そんな気ままで猫のようなところも
好きであった。
――けれども俺は、たったこの今。
もし何か
夜を殺さなければいけないようなことがあったとしたら
少し惜しいと思う以外は
何の躊躇いもなくその手首を裂けるだろう。
好きも嫌いも、そんな場面においては俺にとって関係なくなる。
それが性奴隷となれば
尚更のことだった。
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