手枷足枷、愛は鎖。
□霞
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目が覚めたら、やっぱり同じ場所だった。
だけど、いない。憂がいない。
そう思ったら寂しいからか何なのか
肌に触れる全ての空気が冷たく思えて
体が凍えた。
「……憂、は…?憂…」
横に座る鋳折さんに聞いてみる。
鋳折さんは大きい手で、僕の頭を撫でる。
「朔はこんだけ憂に依存してんのにな…なんで憂はあんな…」
「鋳折、さん…憂、どこに行ったの…?」
「憂は多分上やと思う。自分の部屋おるんちゃう?
ごめんな朔、そろそろ始めなあかんねん。一応これ舐めとき」
ころんとあめ玉を口の中に転がされ
少し驚いたけど
鋳折さんのことは知っていたし、
優しいことも知っていたのでそれをゆっくり舐めた。
きっと俺が辛くないように、だと思う。
「あ…だめ……あつい…」
「ごめん。ごめんな…」
鋳折さんが執拗に謝るので、さっきの飴は媚薬だったんだ、と気付く。
気にしないで欲しくて首を横に振ったけど
鋳折さんにも犯されるんだと思うとやっぱり少し悲しくなった。
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