手枷足枷、愛は鎖。

□懐古
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それは僕が、宮殿の廊下を歩いている時だった。


開いた扉から手が伸びて
僕はよく分からない部屋に引きずり込まれた。


「なにっ…だれ…?」


その人の手を振りほどいて
顔を覗き込むと……。


「望…!?」

「隊長…」

「よかった!生きてたんだ…望…」


あんなことをした望を、憂が許すはずがないと思っていた。
でも怖くて、憂には聞けなかった。
鋳折や早遊に聞いても分からなかったから、本当に不安だった。

でも生きてたんだ。

嬉しくて、望にぎゅっと抱きつく。



「李宇様が、私を逃がして下さったのです」



抱きついた僕の耳が
“李宇”という単語を拾って
びくりと体が固まる。


「っ……!?」


その隙をつかれて、手首を白い布で縛られ、広いベッドに投げ出される。


「望……?」


拘束されている手首はそのままベッドの柵に繋がれ、僕は一気に不安になる。


望がそんなことするわけない。
違う。
…違う……!


だけど、目を瞑った僕に返ってきた答えは違った。


足を大きく開かされ、
M字開脚で膝をベッドの柵に縛られ、
口に白い布を詰め込まれる。

どうして、と聞くことすらできなかった。



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