小説
□なんで？
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あなたの正体は知ってた
今まで何人の人を殺してきて
どういう訓練をうけてきて感情を無くしたのか
知ってたよ
でも、
情報とは違ってあなたにはちゃんと
感情があった。
最初に見たときのあなたの目が
とてもつらそうだったのを覚えてる
だから、
私がそばにいてあげたいと思った
優しくしてあげたいと思った
信じていてあげたいと思った
そして、愛しいって思った
それは、決して同情からの
恋じゃないのは確かだよ
あなたが私を殺そうとしてる
という情報を耳にした時は
ちょっと、悲しかったかな
でも、私信じてるから
あなたが私を殺した後も
あなたが自分を、感情を
取り戻してくれることを
あなたがこんなことをやめて
笑っているときが来ることを
そのきっかけに私がなったら
幸いです。
心残りといえば
あなたを抱きしめてあげられなかった事かな
あなたが私を押し倒して
私の胸の上でナイフを振り上げる
その時のあなたの顔が
悲しみでゆがんでるのは意外だったよ
そういう風な顔ができるなら
きっと、笑えるよ
絶対感情を取り戻せるから
あれ、なんで「？」な顔をするの？
なんで？って？
信じてるからだよ
信じてるよ
最後まで
信じてる
なぜ、こんなに信じられるかって？
愛してるから
当然でしょ？
私、そういう目であなたの事を
見れていた？
あなたに殺される最後の瞬間まで
見れていた？
あ、そろそろ、終わりの時がくる
もう逝かなきゃ
あぁ、どうか
私が死んだ後にこの子が
感情を取り戻せるように
笑顔になるように
私の代わりにこの子の側にいてあげてください
私は今、心の底から願います