贈り物小説

□心を込めて
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ふと、立ち寄った港町での事だった。



「おいファジー、女は何貰ったら嬉しくなる?」



そう聞く俺に、ファジーはきょとんと俺を見る。



「な、なんだいロイ様…突然そんな事…。あ、もしかして、あたいに惚れちまったんですか?それでプレゼントを用意しようって?やだよ、ロイ様ったらぁ…!」

「……あぁ、悪いがお前にじゃないんだけどな;」

「照れなくてもイイんですよ!そうだねぇ……服や靴や宝石は沢山あるし……花なんか貰ったら嬉しいです」

「花?」

「はいvやっぱり、女は花に弱いですからね。あたい、貰った事ないし。ロイ様に貰うなら、バラの花百本の花束だね〜やっぱり!」

「…そうか」



船を停泊する準備をしながら、ファジーとそんな会話をしていた。

知りたい事が解った俺は、勘違いしてるファジーを軽く遇い、洒落た街の中へ足を踏み入れていった。


いつもの上陸する時と違い、今回は変な緊張とワクワクした気持ちが入り混じる。

ひたすら、目的の物を探しながら歩いて行く。

すると、暫くしてそれは表れた。



「おー、あったあった!」



目的の花屋を見付ける。

迷わず中へ入り、店主に直ぐさま注文した。



「親父!この赤いバラを百本くれ」

『へい、有り難うございます!旦那、バラ百本だなんて、イイヒトにですかい?』

「え、あ、ん…そ、そうだ!とびきりいいの選んでくれよな」

『任して下さい!』



ひやかされながら、花屋の店主から赤い大きな花束を受け取った。

バラ百本なんて、今まで手にした事などなかったから、それを持って街を歩くのはなんか恥ずかしかった。

そして、また二つ目の目的地へ。



「おい、これを海の上にいる船に送ってくれ」

『承知しました。しかしお客様、進路を進めている船へのお届け物でしたら、かなりの高額になりますが…』

「どれだけ高くてもいい。早急に届けてくれ」




届け先は、勿論シリウス海賊団の…おまえ宛。

ついこの前偶然会った時、ちらっと誕生日が近い事を口にしていた。

愛するおまえと、おまえの誕生日を共に祝いたいのは山々だが、違う海賊団ではそれもままならない。

けど、何か…

おまえが喜びそうな何かを送りたくて…

海の上での生花は、珍しいだろう?


元気なおまえには、この赤いバラはきっとよく似合うだろうなと、想像しては心が躍る。




「ちゃんと、届けてくれよな!」



このバラが、俺の想いと同じくらい赤く赤く咲き誇っているうちに…。





END★

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