短編
□もしも赤井秀一が医者だったら…B
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秀一side〜
『じゃぁな。』
優一と別れた後、職場に行く前にジュエリーショップに行く
『……予約していた、赤井です』
そういって小さな箱を受け取る。
開けてみれば…銀色に輝く……リング。
今日は未夢の誕生日
景色のいい、米花タワーマンションの最上階のレストランで食事をして…
…そこでプロポーズをする
どんな反応するだろう。
『クククッ』
未夢の喜ぶ顔を想像しながらも、仕事に入る。
『―よし、どこも異常ないね』
入院患者の診察をする。
時計を見れば13:25分
「先生、なんかいい事あったの?」
『ククッ、今日彼女の誕生日なんだ。』
なんてのろけ話をして医局に戻る
「お、今日はデートか??」
上司の伊崎さんは俺たちが付き合ってる事を知ってる。
俺は今日プロポーズをする…と話した
「そっか、もう未夢ちゃんも大学卒業か…
結婚式は呼べよ!」
たわいもない…会話をしてるときだった。
ピーッツピーッピーッツ
ホットラインが鳴る
その瞬間回りが険しくなる
‘13:05分頃、東都環状線米花駅付近で事故発生’
「事故?いったいどんな事故ですか?」
伊崎さんが電話に出てそれをスピーカーで聞きながら用意をする俺ら
‘詳しくはこちらにも入っていないんですが、どうやら2両目と3両目が脱線し、傾いた模様です。’
「何っ!?」
俺たちも同じ反応。
電車が……脱線…なんて、この仕事して初めてだった
‘多数のけが人が出ています。既に他病院にも協力を要請しています。受け入れと共にドクターも現場に来ていただけませんか?’
「了解。」
伊崎さんは電話を切りPHSでヘリのエンジン用意を指示した後…
「ったくこんな時に限ってドクターカーつかえねぇのかよ。おーし、ヘリでピストンでドクター運ぶからな!
俺と赤井と梁田は最初、後の3人は次のヘリで来い。
他の奴はこっちに運ぶから対処しろ!
出来るだけICUのベットは開けておけ!」
伊崎さんの指示でみんなが動き出す。
グラッ
『えっ???』
建物が揺れてる。
「クソッ、地震か!!!」
ぐらぐらと揺れ棚から落ちてくる薬品等を抑える。
――――――――――――――――――
「…………おさまったな。行くぞ!」
改めて―動き出す。
ヘリのある外へ向かいながら俺は携帯を取り出す。
きっと遅くなるだろうから…
そう思って連絡先の‘未夢’と表示されてる番号に通話をしようとしたとき、ふと不安がよぎる
‘16時発の便だから12時には家出るかな’
今朝、言ってた言葉を思い出す。
事故が起きたのは約13:00頃米花付近
家から米花駅まではだいたい………
一時間
まさか、
すぐに通話ボタンを押し電話を掛けた
頼むっ…………出てくれっ!!
しかし、いくらたってもコール音が鳴るだけだった。
ただ気づいてないだけかもしれない。でも、もしかしたら出れない状態にあるのかもしれない。
そう考えれば不安になってくる
「オイっ!!赤井!何してる!!」
伊崎さんに呼ばれ我に戻る
「は、はい!」
無事な事を祈るしかない。そう思ってヘリに乗り込んだ――
だかそんなのはただの希望でしかなく、
さっきの地震が運命を大きく変えていた…なんて
彼はまだ知らなかった―――――
みんなが群がってる方の逆側の車両外―
誰もがそんなところに人がいない…って思っていた。
RRRRRRR、RRRRRR、RRRRR
只今出る事が出来ません
ピーッと言う音が鳴ったらお名前とご用件をプチッツ
携帯の着信オンが止まり、ディスプレイには“不在着信 秀一”と表示され暫くして画面がフッと消える…
その横には――
冷たい地面の上で血を流して…
倒れている……
意識のない、彼女だった。
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