くろ、しろ、あか

□1幕:プロローグ
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Akai side〜


日本―



「今日から新しい捜査員を導入することになっ
た。」



黒の組織の仲間…ベルモットが日本に来たのが分かったものの…

情報がなかなか入ってこず、

捜査が難航していたところだった…。



ガチャ



『………ッッ…!!』

入ってきた人物に目をやる。




そこには、


一つにまとめた黒い髪に茶色の瞳。


コツコツッ

ヒールの歩く音が特徴的で、



「遅れてすみません…今日から日本に配属された

神崎未夢です!みなさんお久しぶりです」


俺とは正反対の性格の持ち主


最期に会った時より少し大人びていて




もう二度と……会う事は無い…


そう思ってた…



俺の元恋人…




「あらー未夢!また一緒に仕事が出来てうれしいわ」




元、この班だった彼女は回りに囲まれ、もともとは周りから慕われていたわけで人気者だった。



俺は思わずジェイムズの手を引っ張って別室へ入る。



ガチャ


『ジェイムズ!彼女を日本になんて…どういう事ですか』



彼女とは未夢の事。



「赤井君…上からの命令だ。気持ちは分かるが…」



『彼女を…“この事件”に関わらすな…とお願いしたはずです。』



「しかしな赤井君。そんな事言ってるとFBIなんて勤まらないだろ。彼女も了承してる。
それに…

彼女自身、両親を殺害した“奴ら”を自分の手で裁きたい。と思っているんじゃないのかね」




『っ……!しかし…っ!!』



「………それに…元恋人…だろ??

いいじゃないか、もう…

私情挟まなくて済むのだから」



『………ッ……』


言い返すことが出来なくて

ジェイムズは黙って…部屋を出た。




……ハァ。


誰もいない会議室。


机には大量の資料が散らばり、どれも俺達の無能さを示されていた


……日本へ来て2年。


何一つ進歩しなかった例の組織の情報…。









彼女との出会いは……



彼女が19歳の時だった。





彼女が“史上最年少、日本人2人目”のFBI捜査官として入社し、注目を浴びていた。





一番おどいたのが…前代未聞。


彼女が“証人保護プログラム”を受けたことだった。



彼女は…14歳の頃…組織によって両親が殺害された。


次に狙われるのが彼女だと踏んだFBIは当時彼女に証人保護プログラムを受けさせ顔や名前、国籍を変えて安全な生活を送っていたらしい



俺にとっては正直「いい迷惑」だと思った。

組織に関連している人物で、足でまといでしかない…


その上17歳から今までの消息が分かっておらず
その間の経歴も不明。



そんな怪しい人物を雇うなんて上はいったいどういう神経しているんだ……。


彼女の教育係を任されたものの


彼女に対して
“反対”の文字しか出なかった…


しかし、




仕事も出来、


俺とは正反対の明るさで……


たまに笑う笑顔が…


「何としてでも守りたい」

と思うようになり…


付き合う事になった。


しかし、組織に潜入することになり

…明美に近づく為明美と付き合う事になった


それでもいい…と言ってくれた。


しかしある事件をきっかけに、



彼女から…


離れてしまった。






今でも彼女は俺にとっては大切な人だ。



明美の死後、


最期の言葉を、


守り抜くため――


彼女を、絶対死なせるわけにはいかない。組織に接触はさせない。
そう決めていたのに……。



「シュウ!未夢からの土産!みんなで食べるわよ〜」





そとから聞こえるみんなの声


そして、


ふんわり笑う彼女をまた………。




愛してしまいそうで…



『………クソッ。』



なんともやるせない自分がいた―――――







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