くろ、しろ、あか

□2章:お墓参り
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「……やー…バレちゃった?」



影から出てきたのは

慧。


それが本名なのか

偽名なのかは知らない


ただ
「慧」と名乗ったから私は慧と呼ぶ。



「僕の事「慧」って呼んでくれるのは未夢だけだよ」




『それ、そっくり返すよ…ギムレット』



彼は敵か…味方か…なんて議論はない。



ただ…信用できるただ一人の男。




例の…組織の医療機関に関わっている…



なんでも治療ができるらしく、毒薬も、解毒剤も作れる
組織に持ってこいの人物。



そして……



私が17の時に捕まえたカモ。

ううん。前言撤回



彼がいなきゃ今頃私は死んでいたかもね。



「気をつけろ…アドニス。


彼らは君を標的にしてる。」




『わかってる。むしろ、その方がありがたい』




「……ったく、何かあっても俺、すぐに手だせないよ?僕まだ死にたくないし」



『…だから来たんでしょ…?』




「……ほんと、わがままな姫だ。」



渡されたのは1枚の紙。


「何かあったらここにおいで、治療してあげるから」



『……ありがと』




「…そのさぁ、ニコッってやめてくれない?

可愛くて惚れちゃうから」



『あら、別にいいけど』



「いや、未夢に感情持つとめんどくさそうだから…いーらない。」




命を助ける代わりに、身を売れ。俺に―――


17の時、慧にそう言われ



私は今も生きてこられた。



命を助けてもらうかわりに、




こいつに身を売ったのだ。



安いもんだ、そんな事で助かるのであれば…



組織を潰すまでは絶対に死ぬわけにはいかない。


……





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