くろ、しろ、あか

□4章:黒と接触
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――――――――――――――




ガバッ




勢いよく起き上がったらベットの上。




汗はびっしょりかき、さっきのは夢だったものの…




「…ハァ…ッ……いやな夢…」



まるで、再開が近いかのように…





「…あながち、間違っていないかもね」




“明日…杯戸シティホテル…そこで暗殺が行われるって”





昨日、慧から聞いた話。




“そう……”



“……ま、気おつけろよ”



言われなくても




“わかってるよ”




奴らをつぶすまでは死ぬわけにはいかない…






そうよね……






明美さん…





ピッ
ピッ




保護されたメールを開き、あの時のメールを開く




…………


……守ってみせるよ。







――――――――――――


Conan.E side〜



「さ〜て、どうやって入るか…?」

杯戸シティホテルの真ん前


たまたま町中でジンの車を目撃した俺と灰原は奴の車に盗聴器をしかけ…この杯戸シティホテルで何者かの暗殺が行われることが判明し目の前にきたものの…



「おい、興味なかったんじゃねーのかよ」


俺の後ろにしがみつくようについてきた灰原


「もう、あなたに人殺し呼ばわりされたくないもの…それに」


“あぁ、アドニスだ…アイツもそっちに向かっているはずだ”

盗聴器から聞こえたセリフ。

アドニス…って言葉に灰原は反応する



「ナァお前組織にいたころアドニスってやつと…」


「えぇ…仲がよかったもの」


当時の事を思いだす。
灰原と…姉である宮野明美と…アドニスと呼ばれている彼女三人でランチしたこと。
たまに灰原と明美が喧嘩したのを仲裁に入ってくれたこと
……そして突然姿を消した。



「…未夢…もう、頼れるのはあなただけなのよ」


アドニスこと…神崎未夢の名前を口にし、
少し弱みな表情を見せる灰原


頼れるといってもジンの会話からしてアドニスが見つかれば間違いなく殺される
また例の盗聴器ももし、灰原がしかけたってばれたら…


「…ぜってー大丈夫だって、お前も…そのアドニス…も」


死なせはしない…ッ






さて、あとは会場にどうはいるか…

会場に入るには目の前で受付を済まさなければいけない
まして見た目は小学一年生だ…とても2人で入れるとは思えない…そんな時だった。



「ご記帳お願いします」

「あ、はい…」



受付で記帳している彼女



「……おい、灰原…」

「えぇ。間違いないわ」



以前に見せてもらった写真とそっくりだった。
まさか素顔で乗り込んでくるとは…なんて無防備なんだこいつほんとに組織の人間だったのか??



ゆっくり、ゆっくり彼女の後ろに近づく。








―――――――――――――――


未夢side




「後ろの子はお連れ様ですか?」


『後ろの…“子”???』



杯戸シティホテルに着き受付を済ましていると受付の方に言われた言葉

後ろの…“子”??


そう言われて振り返ると

小さな少年と少女


おいおいおい誰だよこんなところに子供連れてきたのはーっ
って言おうとした一瞬少女を見て固まる


なんだろ…この感じ…
どこか、懐かしいようなそんな感じが
昔の誰かに似ているような似てないような…



「………未夢…」

『え…』

私この子と知り合いだっけ。どうして名前知ってるの?

とにかく後ろにも人が並んでいたからとりあえず連れってことでその場から離れ会場の中へ入った。






「ありがとーお姉さん!」

そういってきた少年。

『別に、…ってかそう仕向けたのボクだよね?…えーっと』

名前は?って聞く前に

「僕ね、江戸川コナンっていうの!」

江戸川コナンってまぁ苗字は別として名前よ。外人じゃあるまいしなんてネーミングセンスの悪い親なんだろう…


『そっちの子は?』

さっき、私の名を呼んだ…彼女に声をかける


「……灰原…哀」


『…灰原…哀ちゃんね』


「お姉さんは??」


『……私の名前は…黒木由衣だよ』


一瞬だけど驚いた様子だった。
さっきの彼女といい
なんなんだこいつらは…だけど本名を名乗るわけにもいかないしさっきの記帳を見られていた可能性もあるから下手な事いえないし…


「じゃぁ由衣さんだね!」

それよりも…


『それよりボクたちはなぜここにきてるのかな?こんなお別れ会に…』


「ボ、僕たちはねー…呑口っていう人に用があるんだー」



『……ッ…』


驚いた。なぜ呑口さんの名前を口にしたのか
なぜ呑口さんの事を知っているのか



「知って…るんだね」



私の反応を読み取ったのかそう聞いてくる少年


ったくなんだんださっきから


けど今そんな事気にしているひまはない


記者たちの虜になっている今噂の呑口議員


彼らのターゲットはおそらく彼。



…なんとでも阻止せねば。




“では皆さん!酒巻監督が生前ひた隠しにしておられた秘蔵フィルムをスライドで観覧しましょう!”



スライド…?


嫌な、予感がした


スライドが映し出されあたりは暗くなる。


照明がすべて落とされ近くにいる人でさえわからない



…クソッこんなの殺してくれって言ってるもんじゃないか…っ



「ちょっと!彼いなくなってるわよ!?」


『えッ……』


哀ちゃんの声で振り返るとどこにもいなくて





ガッシャーーンッ





シャンデリアの割れる音がして






キャァァァァァァ



電気が付いたと同時に聞こえる悲鳴



そしてシャンデリアの下敷きになっている…彼は血まみれで、



既に息絶えていた







………乗り込んだもの


結局守れなくて、





情けない・・・ッツ







……ふふふ。何を正義ぶっているのかしら…?


一度黒に染まった人間の貴方が…


人を守るなんて笑わせないで?アドニス?





……ッ‼

奇妙な甲高い女の声が脳に走る



忘れることもないこの声は…



『…ベルモット…』







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