pkmn novels
□狂おしいほどに愛してる
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※現パロ
ちょっと病んでるかもしれない
「また入ってる…」
バイトが終わって家に帰ってくるなり僕はげんなりとした。
郵便箱に入った一通の、宛先もなにも書かれていない真っ白な封筒。それが僕の気分を低迷させた元凶だ。
まだ開いてもないのにおおよその内容がわかることに僕は頭が痛くなった。
『あなたのことが好きです。好きで好きでたまりません。愛しています。髪の一本一本、あなたの口からでる言葉のひとつひとつでさえも愛しいです。全部俺のものです。だからあなたが今日、学校帰りに知らない男に肩を組まれているのを見て俺はそいつを殺したくなりました。俺のレッドに気易くさわりやがって。あなたに触れていいのは俺だけで、だからあなたがそいつに笑いかけてるのを見ると余計に腹が立ちました。八つ裂きにしてやりたくなりました。あなたと口がきけないように声帯をつぶして、あなたに触れないように両手を切断して、そうやって痛めつけて殺してやりたかったけど、そうするとあなたにきらわれるので、あなたに嫌われるというのは俺にとって世界が終わるのと同じことだから、やめておきました。俺はこんなにもあなたのことが好きです。あなたが今日自販機で買っていたコーヒーだって、俺はもともとこーヒーが好きじゃなかったのにあなたが好きだから俺も好きになりました。俺はこんなにもあなたのことが好きです。他にも……』
便箋3枚にわたってびっしりと、延々と書かれている、その毎度のことながら狂気的な文面に僕は悪寒が走らせる。
こうした手紙が僕のもとに数週間前から毎日ずっと届けられる。
時々生活の中でだれかの視線を感じたり、ゴミ袋が荒されるのはもちろん、携帯電話やパソコンにまで手紙とにたようなことが書かれたメールが送りつけられる。
最初はただのいたずらかと思ったけど、ここまでくるとこれはれっきとしたストーカーだ。
しかも手紙の文面からするに男。まったくもって最悪だ。
(いったいどうしたらいいのだろうか……)
迷惑だし、正直言って怖い。
僕の我慢は既に限界に達していた。
……さっきから携帯電話がしつこく鳴り続けている。
おそらくいくら着信拒否にしても届く、ストーカーからのメールだろう。