pkmn novels
□繋がりを求める
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彼が自分にくれた優しさを返すこともなく、僕はこうしてシロガネ山に引きこもっている。所詮現実逃避だ。
自分を頂点の座から引きずり下ろすトレーナーの挑戦を待つというのは上辺だけで、僕は単に孤独を他人に押しつけたいだけなのだ。帰る口実がなくて、今更帰ったとしても罵られるのが怖いから、理由をつけて逃げている臆病者なのだ。
チャンピオンを辞退すると言った時の、彼の、泣きながら自分に怒って胸倉を掴んできた表情を思い出す。
あの時、もう全部終わったと僕は感じた。
二人で丘に登った記憶も、彼の優しさも全部粉々になってしまった。ずっと側にいたいと思ったのに、そんな願いを自分の手で壊してしまった。
きっと彼は僕を許していないと思う。当たり前だ。自分の願いだけじゃなく、彼の願いも壊した自分を許すわけがない。
そうわかっているのに。
心のどこかで僕は、彼が自分を許してくれているのではないかと思ってしまう。
優しい彼なら、と結局彼の優しさに依存してしまう。
帰りたくない帰れないと言う気持ちと正反対の気持ち。
個々の星と星をつないでできた星座のように、僕は未だに彼との繋がりを望んでいるのだ。
繋がりを求める
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赤独白。
ネガティブで暗い。
星って好きです。ロマンを感じますよね。