pkmn novels

□繋がりを求める
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吐きだした息が白く染まる、それが常であるこの銀世界は既に自分の住処となっていた。

眠るリザードンとピカチュウを置いて洞窟から出て(ピカチュウが寒そうに丸まっていたので毛布をかけておいた)、キュッキュッと声を上げる雪を踏みしめながら夜のシロガネ山を歩く。悲しそうに鳴く風は夜のせいもあって冷たい。

ただ行く宛もなく歩く。この行為に特に理由はなかった。あえて言うとしたら気まぐれだ。

ふと、仰ぎ見るように空を見た。夜空に浮かぶ数多の星々が頭上で輝いている。山の空気は町と違って澄んでいて綺麗だから星もよく見える。綺麗だな、と思いながら、いつの間にか思考は昔の思い出へと飛んでいた。

シロガネ山に来、人との繋がりを断ち切って、一人で考える時間が多くなった今、僕はぼんやりと考える。





星というものは宝石のように空に散りばめられたものではなく、此処よりもずっと遠く離れた恒星の光が届いているものなのだ、と以前幼なじみの少年が言っていた。

確かポケモンとの旅にでる前、天気のいい夜に二人で望遠鏡と毛布を抱えて丘の上にのぼった時のことだったと思う。

その日も、此処とは比にならないけど寒く、二人で身を縮こませながら空を見ていた。



どうせ光を届けるくらいなら、他を圧倒するくらいに、眩しいくらいに輝きたいと彼は言って、一番光る星を指差していた。
彼らしいと僕は思った。
いつも人に囲まれて笑っている彼にぴったりだと思う。

僕は正反対で、彼の横にある、名もなく今にも消えてしまいそうな星を指差してあれがいいと言った。
なんでだよ、と彼は尋ねてきたけれど。



――君の隣にいれればそれでいいと思ったんだ。

感情を表情にするのが苦手で子供らしくないと言われ、一緒にいても楽しくない僕の側にいつもいてくれて、お節介なくらいに世話を焼いてくれたグリーン。そんな彼と一緒にいることはひどく居心地がよかった。

だから、僕は、彼とずっと一緒にいたいと暗に漂わせたのだけれど、グリーンは気づかなかった。


旅にでることになって一人になったかと思ったけれど、行く先々でグリーンは僕になにかと構ってくれて、僕はそれがとても嬉しかった。



なのに。
自分と繋がりを示してくれる彼を裏切って、その繋がりを断ったのは紛れもない僕自身だ。
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