pkmn novels

□魅惑的な誘惑
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※現パロ





学校の帰り、突然雨が降ってきた。
それまでは普通に晴れていたのに、突然曇ったかと思えば、容赦なしの激しい雨が降ってきて(天気予報ではずっと晴れだと言っていたのになんでだ。もう二度とあの天気予報は見ないでおこう)、俺とレッドは急いで雨宿りのできる所、一番近いレッドの家へと向かって走った。


「うわ、ベタベタ」

「…お風呂わかしてくる」

当然俺とレッドは全身ずぶ濡れだった。
レッドの家の玄関でどうしようかと立ち尽くしている俺に一言そう言うと、レッドはそのまま家の奥に行ってしまった。

ずぶ濡れのままだったから、レッドの通ったところが濡れてしまっている。
それに関しては、後でレッドと二人で拭けばいいかと思いながら制服を絞って、とりあえず出せるだけの水分を取り除いておく。

しばらくして、手に二人分の着替えを持ったレッドが戻ってきた。

「…グリーン、お風呂先いいよ」

「いや、俺はレッドの後でいい。お前に風邪引かれたら困るし」

「……」

レッドの返事がない代わりに、視線を感じてレッドを見れば無言で此方を見てくるレッド。

「レッド、どうかしたか?」

「…じゃあ、一緒に入る?」


くてん、と首を傾げながらレッドが言ったその言葉に思わず手が止まる。

ああ、それいいな……じゃなくて!!
一瞬その魅惑的な言葉に流されてしまいそうになった自分を振り払う。
確かにそれはものすごくいいけど、多分俺の理性がもたない。ただでさえ最近ご無沙汰なところにそれは、まるで腹を空かせた犬に餌をちらつかせるのと同じだ。

「…いや、本当に後ででいい」

自分の理性の弱さをよく知っている俺は、俺にしてはものすごい精神力でレッドの誘いを断った。俺すごい。誰か拍手して。

「……そう」

レッドは相変わらずの無表情で答えると、風呂場へと去っていった。
心なしか少し怒っていたような気がしなくもない。
もしかしてレッドは一緒に入りたかったのだろうか。もしそうだったとしても、俺はレッドを襲わない自信がないからやっぱり断って正しかったのだろうと思う。

…据え膳食い損ねた、そんな気がしなくもないけど。
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