drrr novels

□終わらない恋になれ
1ページ/1ページ

※帝人生徒 臨也は先生



グラウンドから運動部のかけ声が聞こえる。
それをぼんやりと聞きながら、帝人は夕暮れの廊下を一人歩いていた。
夕暮れの校舎は昼間に見せる喧騒がまるで夢であったかのように静まり返っている。ひんやりとどこか冷たい印象を受ける廊下を歩く帝人の足は理科室へと向かっていた。


帝人の学校、もっと丁寧に言えば帝人の科にはチーム制というものがある。
その名の通り、生徒を複数のチームに振り分ける制度だ。

チームに分けたからといって、特にこれといったことはしないのだが、チーム担当の先生にチームノートなるものを提出しなければならない。
チームノートはその日1日の予定を書いたノート(8時から数学の復習、とかそういうことを書く)で、それをすることで勉強へのモチベーションを上げるとかなんとか。

でも大半の人は提出をしていないし、教師の方も忙しくて見る暇もないので何も言ってこないのがほとんどだ。
しかし帝人はチームノートを出す数少ない生徒の一人であった。
確かに帝人は真面目ではあったが、正直な話、毎日毎日どうでもいいようなことを書いて出すのは面倒であった。
なにより、自分のプライベートを他人に覗かれているようで些か気分が悪い。
しかし、それでも帝人が出す理由は帝人の所属するチーム担当の先生にあったりする。


しばらくして目的地である理科室に着いた帝人は無機質な扉を開く。

「失礼します」

中には誰もいなかったので、例の人物はどうせ理科室の奥の準備室にでもいるのだろうという帝人の予想は当たっていた。

「やあ、帝人くん。わざわざご苦労様」

ニコニコと、人受けの良さそうな笑みをその整った顔に浮かべた、白衣を着た教師。
その教師を見たと同時に帝人はため息をついた。

「どうしたの、そんな大きな溜め息なんかついちゃって。何?悩み事でもあるの?」

「誰のせいだと思ってるんですか」

そんな帝人の言葉などお構いなしに教師――折原臨也は帝人の腕を掴んで引き寄せ抱き締める。

「ちょ、離してください。誰か来たらどうするんですか」

「こんなとこ誰もこないって。それにしても帝人くんの抱き心地最高」

最初は臨也の頭を叩いたりなどの抵抗を見せていたが、それも馬鹿馬鹿しくなり大人しく臨也の腕におさまる帝人。
それにしても、と思う。

誰がこの関係を予想するだろうか。この、至極平凡な男子生徒と眉目秀麗な理科教師の恋人な関係を。

「あ、それチームノート?持ってきてくれたんだ」

「これを持ってくるためにここに来たんですよ!!」

帝人がここに来たのはチームノートを持ってくる為だ。
ちなみに言っておくと、帝人がチームノートを書く理由も、チームノートをわざわざ理科準備室にいる臨也に持っていくのもすべて臨也からの命令だ。

「だいたいこんなのちゃんと見てるんですか?」

「うん。帝人くんのは一字一句逃さず見てるよ。帝人くんはこんなことしてたのかとか想像したら興奮するし」

この変態!!と内心思いながら、ちゃっかり臨也の足を踏みつける。
これはただの臨也が帝人に毎日会う為の口実なのだ。

それでも、と思う。
臨也からの命令であっても脅されているわけではないから、命令を無視してわざわざ臨也のところまで行かないで職員室に置いていくこともできる。そもそもノートを書かないでいることもできる。

それを無視できずに、こうして毎日臨也の元へと足を運ぶ自分も臨也と同じように、先生からの命令だからを口実に臨也と会っているのだろう。
今もこうして大人しく臨也に抱き締められているのも。

そう思うと、大概自分もこの教師のことが好きなのだと改めて思った。



終わらない恋になれ


「あれ、帝人くん顔赤いよー?」

「〜っ、見ないでください!!」



―――――

学パロらぶ!!


お題拝借しました:確かに恋だった

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ