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□それを恋という
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※管理人が「と/な/り/の/怪/物/く/ん」好きすぎて一部(三巻文化祭編)をパロってみた。管理人の自己満捏造入り。










「ね、帝人くん次どこ行きたい?俺は三年がやってるメイド喫茶行ってみたいんだけどそこ行こうか」

「ぼく貴方と行動するつもりないんですけど。ていうか貴方ぼくの話聞く気ないですよね」


文化祭の準備をしていたところでばったり臨也に出くわしてしまった帝人は、有無を言わされず臨也に連れ回されていた。
逃げようにも手を握られていたので(恋人繋ぎだね、なんて言った彼を帝人は殴りたくなった)とうに逃げるという選択肢は存在しない。


帝人は隣の臨也をちらりと盗み見る。

(他校の文化祭にわざわざ足を運ぶなんて、この人相当暇人なんだな)

そんなことを思いながら渡り廊下を歩いていると中庭に幼なじみの静雄と、クラスメートの正臣と杏里を見つけた。
休憩をしているのだろうか、ベンチに座って会話している三人を歩くすがら見ていると静雄と目があった。

(あ…)

ヤバい、と帝人は瞬間的に悟った。
静雄は臨也が嫌いだ。嫌いどころではなく殺したいという部類に入るくらいに嫌悪している。そんな静雄が、臨也が帝人と一緒にいるところを見たらどうなるか。


「いーざーやああああ!!なんでテメェがここにいんだよ!!」

案の定静雄は二人の姿を見るやいなや立ち上がり、敵意剥き出しで帝人と臨也のもとまで来た。

「なんでって俺が帝人くんに会いに来たからに決まってるじゃん。シズちゃん馬鹿なの?ああ、馬鹿か」

「うるせぇ!!帝人に近づくなって言ってんだろ!!帝人から離れろ蚤虫!!」

「やーだね」

「ちょ、臨也さん…」

後ろから帝人を抱きしめて静雄を挑発しているとしか思えない笑みを浮かべる臨也を帝人は引き剥がそうとする。だが力の差は歴然で臨也が離れることはない。
その様子に、もともと気が長くない静雄の怒りは頂点に達した。

「帝人から離れろっつってんだろ!!」

「おっと。そんな簡単にシズちゃんの怪力をくらうわけ…」


臨也に向かって振り下ろされた静雄の拳は、しかし臨也に上手くかわされる。
小馬鹿にしたように笑った臨也だったが、静雄の拳が止まることなくそのまま帝人の頭を直撃したことによってその笑顔は消えた。


「〜ッ!!」

「み、帝人!?」
「帝人くん!!」

鈍い音がした後、頭を押さえてうずくまる帝人。
固まる静雄と臨也をよそに、三人の様子を少し離れたところで見ていた正臣と杏里が駆け寄ってくる。

「帝人!!大丈夫か!?」

「竜ヶ峰くん…」

「…うん、ちょっとって言うかだいぶ痛かったけど、大丈夫だよ…」


へらりと笑う帝人の様子に大丈夫そうだと安心する。
しかし静雄の顔は相も変わらず真っ青であった。


(もし今のがうちどころが悪かったら…)


帝人は。
大怪我をしていたかもしれない。
いや、運が悪かったら……。


バクバクと激しく打つ心臓。
帝人を殴った手を静雄は握りしめる。

自分の力を制御できないことを一番よく知っているのは静雄自身である。
自分の力がどれだけ普通の人間より強いのか、それを一番よく知っているのも。

だから静雄は自分の力が怖かった。
自分の力で大切な人を傷つけることを何よりも恐れていた。

その、自分が一番恐れていることを自分は今しでかそうとしていた。
その恐怖は静雄の中で膨れ上がり、内側から静雄自身を切り刻んでいく。


そんな静雄にトドメを刺すかのような臨也の言葉。

「シズちゃん自分の怪力わかってるの?シズちゃんの殴った、は常人の殴ったとは違うんだよ。大体シズちゃんみたいな化け物は人と関わっちゃいけないんだよ。だって傷つけることしかできないんだもん」

臨也に言われるのは殺してやりたいぐらいに腹が立つのだが、臨也の言っていることはすべて事実だ。
そう思ったから静雄には否定することもできなかったし、ましてや言い返すこともできなかった。

「化け物は一人でいれば…」

「止めてください!!」

真っ青な顔で押し黙る静雄を更に追いつめようと臨也は口を開きかけたが、それは帝人によって阻止された。

いつの間にか臨也と静雄の間に立ち、静雄を庇うようにして目の前の臨也を睨んだ。

「これ以上言うようだったら僕は臨也さんのこと嫌いになりますよ」

強く臨也を睨む帝人に臨也は一瞬面白くなさそうな顔をするが、すぐにいつもの得体のしれない笑みを浮かべて肩をすくめた。

「帝人くんがそう言うんだったら止めるよ。俺も帝人くんに嫌われたくないし」

帝人の額に口づけ、じゃあねと一言言うと臨也はどこかへ行ってしまった。
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