鮮血のように真紅の花を
□声無き声で、
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ドロドロ、ドロドロ。
粘ついた泥のように鈍い汚れた色の感情に、脳も心も身体も支配されそうになる。
恐れ多くも(本当はそんなこと微塵も思っていないが)皇帝専用のベッドに寝っ転がり、デスクで忙しなく働いている影を眺める。
その正体は、神聖ブリタニア帝国第99代唯一皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア陛下様々だ。
帝国臣民は彼を憎々しげに、皮肉を込めてそう呼んでいる。
それだけで、一体ルルーシュがどんな政治を行っているかはよくわかるだろう。
ブリタニアだけではない。
先のダモクレスでの決戦に勝利したルルーシュは超合衆国をも手中に収め、名実ともに世界を支配していた。
そんな彼を、影で人々は『悪逆皇帝』と呼ぶ。
そして、僕はその悪逆皇帝と共に世界を裏切り、そのくせ呆気なくダモクレスに散った愚かな騎士。
が、実際は重傷を負ったもののこうして生きている。
…『ゼロレクイエム』のために。
そう。
ルルーシュが世界を支配し悪逆非道な政治を行うのも、死にたがりの僕がこうして生きていることも
総ては『ゼロレクイエム』のためだ。
『ゼロレクイエム』――
争いや憎しみを乗り越え、皆で明日を迎えるための儀式。
世界の敵となったルルーシュをゼロという名の救世主が殺し、世界は新たに幕を開ける。
ルルーシュが、死ぬ。
僕が、ルルーシュから賜った剣で、ルルーシュを殺す。
その瞬間、あのドロドロがせりあがってきた。
頭が痛い。
視界が揺れる。
ヘドロのような感情が、心の底に積もり
思考と行動が、剥がれて乖離していく。
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