鮮血のように真紅の花を
□寒空の待ち人
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降り積もる雪の白は、漆黒の夜の闇によく映える。
クラブハウス内の喧騒とは対照的に、そとはしんと静まりかえっている。
スザクから、もうすぐ終わりそうだと連絡が入ったのが1時間前。
ルルーシュは、ずっとクラブハウス玄関前で彼を待ちわびていた。
首には、ナナリーから貰った手編みのマフラーをしている。
先ほど、本人から『ちょっと形が悪いかもしれませんが…』と貰ったものだ。
実際、かなり上手に出来ていて、目の不自由な人が作ったとは思えない素晴らしい出来だった。
色は、ルルーシュの瞳と同じ紫。
ナナリーは、もう1つ黄緑色のマフラーも編んでいた。
かじかむ手に息を吹き掛けながら、ひたすらに彼を待つ。
今、クラブハウスではアッシュフォード学園高等部生徒会主催のクリスマスパーティーが行われていた。
中からは、柊飾ろうやジングルベル、赤鼻のトナカイなど、定番のクリスマスソングが流れ、ざわざわと話し声が聞こえてくる。
「ルル、とりあえず中入ったら?」
ひょっこりと顔を出したシャーリーが話しかける。
「いや…あと少しって言っていたし」
「でも、このままじゃ風邪ひいちゃうよ…あっ」
そういって、彼女はポケットをごそごそ探ると、手袋を差し出した。
「これ、私の。スザク君が来るまでしてて。ちょっとらあったかくなると思うから」
「…ありがとう、シャーリー」
シャーリーの心遣いに、ルルーシュは口元を綻ばせる。
シャーリーは真っ赤になって、喧騒の中へと戻っていった。
どっと笑い声が上がる。
リヴァルが、一発芸をやっているようだ。
ガヤガヤという音のほうへ、ふと目を向ける。
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