鮮血のように真紅の花を
□uncertain…
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傍に居ると、君が綺麗過ぎて
自分が汚いということを、思わず忘れてしまう。
uncertain…
生徒会室に、鮮やかな夕陽が射し込む。
夕暮れ時は、人々に懐かしさを憶えさせるというが。
僕にとって、夕陽は今まで自分が殺めてきた人々の――父親の、血の色だった。
「帰るぞ」
突然響いた、優しいテノール。
誰よりも大好きな君が、葡萄色の瞳に夕陽をきらきら輝かせて、笑っていた。
全てが不確かで、ピントの合わない眼鏡のような世界で。
変わらないでいてくれた君。
でも、君は知っている。
愚かな僕の大罪を、知ってしまった。
それでも、君は蔑みも見捨てもせず
寧ろ、以前より優しく、深い想いで僕を包み込んでくれる。
それは、僕にとって強烈な罰にも等しい、穏やかに侵食してくる麻薬。
でも。
麻薬はほんの一時でも、僕を幸せの錯覚に堕としてくれるから…
「今日、軍はないんだろ?だったら泊まっていけよ。ナナリーも喜ぶ」
あったかい、この時間は永遠ではない。
ピントを合わせて合わせて、はっきり見える事実。
そんなこと、知りたくは無かったけど。
罪深い僕は、今日も広げられた腕の中にすっぽりと入って
束の間の、ピンぼけの世界に嘘をつく。
『明日も、この不確かな世界が続きますように…』
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