鮮血のように真紅の花を
□命ある限り
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命ある限り スザク+シュナイゼル
「ふぅ」
自らの執務室で、ゼロは小さくため息を漏らした。
「如何なさいましたか、ゼロ?」
ゼロに常につき従うシュナイゼルが、主を気遣う。
「いや…。なんでもない、気にするな」
ゼロの言葉に、シュナイゼルは小さく頷くと
「では、本日のスケジュールを確認いたします。このあと午前十時に日本に行き、午前十一時からサクラダイトの再分配会議。
互いの利権が絡みますので、長引くことが予想されます。終了後、午後三時にブリタニアに戻り、コーネリア代表、ナナリー副代表と国内外の政策の調整。なお、余裕があれば調整前に昼食ですが、時間がなければ四時半から昼食兼夕食。
五時より試作の新しい蜃気楼の調整。終わりしだい、明後日の演説内容確認。七時より、現在超合衆国参加表明中のベネズエラよりの来賓の方と会談、
八時半にお見送り。後はフリーですが…」
「…ヴァインベルグに、なにやら招待されていたな」
彼の前では、『ゼロ』でいられないかもしれない――そう思案するゼロに
「行ってらしたらどうです?お疲れなのでしょう?」
シュナイゼルは、優しく背中を押す。
ゼロだって、本当はあの頃の旧友と話したいはずだ。
ギアスによる、歪な、でもそれゆえに純粋な主従。
ギアスという支配は忌み嫌うべきものだが、それによってもたらされる気遣いに
は感謝していた。
「…彼といると、ますます疲れそうな気がするが…」
ふふっ、と小さく笑うゼロに
「あなたは、身体より心がお疲れですから」
シュナイゼルの言葉に、ゼロの動きが止まる。
そして、自嘲気味に笑うと
「心なんて…とっくに捨てたと思ったのにな」
困ったように、諦めたように、呟いた。
そんな主の姿をみて、シュナイゼルは何か言おうとしたが、言葉が出てこない。
ゼロには、それに感謝した。
(今でも、この手に残る感触)
(愛しい君を貫いた、あの感触)
(あの時、一緒に消えたと思ったのに)
(どうして今でも、覚えているのだろう)
(枢木スザクだった、あの頃を)
(ああ、それはきっと…)
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