太陽も傾いて辺りが黄金色に染まっていく中で銀時と月詠は吉原への道を歩く。
二人の間には微妙な距離がある
―その距離三歩分。
ゆったりと落ちていく日を感じ無言で先を歩く銀時を月詠が急に呼び止めた。
「銀時」
「なんだよ」
嬉しそうな声に半身を返して月詠を見る。
「お揃いじゃな」
「何がだよ」
訳が分からず憮然と返すと月詠が一歩近付いて薄く笑った。
「黄金色に輝いておる」
「?ああ、そうだな。」
「違う」
そう言って月詠はまた一歩近付いた。
「気付かぬのか?」
「なんだよ一体」
本格的に意味が分からない。と眉を寄せて月詠と向き合うと月詠がまた一歩近付いた。吐息がかかる程の距離。そして頭に手が掛かった。
「お、おい」
「わっちと同じ色じゃ」
「え」
「今銀時の髪は黄金色をしておりんす」
そう言うと恥ずかしそうに目を伏せた。
ああ、そうか。だからいつも嬉しそうだったのか。
今頃になって自分達の距離に気付いた月詠は真っ赤になりあわてて離れようとするがいとも簡単に銀時に捕まえられた。
「あ、ぎん」
「俺は今までこの時間帯が大ぇ嫌れぇだったんだが」
「そ、そうか…それは」
「最後まで聞けって」
腕の中でしょんぼりと謝ろうとする月詠を力を込めて抱きしめて、なぜかっつーとと続ける。
「誰かさんとお別れする時間帯がいつも同じ位でなんだけどさぁ」
頭を手で軽く押さえて顔を見ない様にする。月詠もここで抱きしめられるのが恥ずかしいらしくジタバタともがいている。
「なのにいつも嬉しそうなツラしやがるもんだから銀さん結構傷付いていた訳よ」
その言葉にハッと気が付いて大人しくなる。
「けどな。今はこの時間帯が一番好きかもしんねぇ。いや、一番好きだ」
そう言って拘束を解くと真っ赤になった月詠と目が合う。
「俺を想ってくれてたんだな。」
ありがとう。とコツンと頭をくっつけた。