五光!!

□第一局
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何で―――――…?



通りの向こうで子供たちが花いちもんめをして遊んでいる。



何で――…僕は此処に居る?



「あの子が欲しい」



何で――…忌み嫌われる?



「あの子じゃ負からん」



憎い。…消して、やりたい。



「「決ィまった。」」






少年の声は暗い林にこだました。









【第局】






神社の境内は桜が満開だった。

僕はその下を箒で掃除している。

ところで、僕はそれほど『花』というものが好きになれない。

自分が子孫を残すために媚を売るように美しい花弁を開かせる。(『工夫』という見方もあるかもしれないけど)

こういう生き方は嫌いだ。『媚びる』という言葉はどこかマイナスなイメージの響きがする。

『言葉は言霊』だからその物の本質というものが耳を通して伝わる。

『花』という言葉は花の『華やかさ』と『毒々しさ』の2つを表しているようだ。

そして僕は『花』の中でも『桜』が嫌いだ。

薄紅色の花弁はまるで血に染まったように毒々しく、妖しく見える。

よくある怖い話で『古い桜の下には死体が埋まっててその人達の血で桜は染まっている』なんていう話を聞くとついつい薄気味悪く感じてしまう。



そんな僕のどうでもいい好みはさておき、

春だ。



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