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□雀の涙
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ユーリ夢 子供主




強くて、かっこよくて、優しくて。
困っている時はいつも助けに来てくれた。
昔フレンが読んでくれたお話の『王子様』のように。
フレンに言ったら
「ユーリは王子様なんてガラじゃないよ」
って笑ってたけど。
でもね、痛いことする人から逃げて匿ってくれたのも。
迷子になったとき捜してくれたのも。
食べるご飯も寝る場所もくれたのも。
ユーリなんだよ。
一人にはしないって、笑ってくれる。
たまに帰ってこないけど、帰ってきたら悪いって撫でてくれる。

でも、下町が洪水になった後は帰ってこなかった。
いつもは帰ってくるラピードも。
だから帝都を飛び出した。
ユーリが帰ってこない気がしたから。

追いかけて、追いかけて、ユーリを見つけた時、ユーリの隣にはたくさんの人がいた。
その中にはフレンが読んでくれたお話のような『お姫様』がいた。

『王子様』の隣を歩く『お姫様』

「こんなところで何やってんだ?」
「……ユーリ」

いつも助けてくれる黒髪の『王子様』

「……だっこ」
「なんだよ、今日はいつもより素直じゃねぇか」
「……」

『召し使い』は『お姫様』にはなれないけど

『お姫様』と『王子様』が幸せになるまでは

『王子様』と一緒にいさせてください



雀の涙

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