雨色の空
□Water.2
2ページ/4ページ
「氷帝学園」
お面をかぶった二人の少年は、そう書かれた学校の門をくぐっていった。
そしてまっすぐ、テニスコートへと足を進めた。
「今日転校生が来るらしいぜ」
朝からある噂はもちろんテニス部まで広がっていた。
練習している中、向日が口を開く。
「こないな時期にか?珍しいやっちゃなぁ」
「何でも急に親が転勤になったらしいですよ。本当かどうかはわかりませんけど」
「ま、所詮は噂。理由なんか本人に実際に聞けばわかるだろ」
「みんなぁ、おはよぉ〜」
四人が喋っている中、甘ったるい声が流れる。
そしてそのまま、他のレギュラーを巻き込み仲良く談笑という形になった。
それを、遠くから二つの影が見つめる。
「あれが皐月を苛めた奴らか〜」
そのうちの一人、狼のお面をつけた少年が言う。
もう片方の少年はこくりと頷いた。
「練習時間に談笑とは余裕だな」
「だね〜。でも、それももう直ぐできなくなるけどね〜」
狼のお面をつけた少年は、どこか楽しむように笑った。
目の前に居るレギュラー達を見据えながら・・・
.