言ノ葉
□狂
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潔白の愛
朱に染まる君が横たわる
広すぎる部屋に渇いた笑いだけが響く
どうして俺だけを見てくれない?
こんなに君だけを愛しているのに
瞳に写っているのは常に違う男
放つ断罪の言葉も薄っぺらで
流す涙も全て欺瞞で
俺だけを見ていて欲しいから
君の胸にナイフを突き立てた
遠くで 近くで 慟哭が聞こえる
それが俺の悲鳴なのか
君の最期の声なのか
俺にはもう判断する事が出来ない
月のように青白く眠る君
命の温度はとうに失われてしまった
胸に遺った狂気を引き抜き
自分の首へ導いた
せめて空の上では結ばれたいと願いながら
俺は静かに目を閉じた