旧拍手
□〜5月5日
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「寒いよ〜」
『そうだねぇ。私に抱きついてないでマフラーとか手袋とかしたら?』
「えー。マフラーしちゃったらキミに抱きつく口実なくなっちゃうじゃん」
グリグリと頬擦りしてくる悟天に呆れながらも嫌がらない私。私も悟天に甘いなぁ。悟飯お兄さんほどじゃないけど。
ガリガリとシャーペンを動かして数式を解いている私に悟天は後ろから抱きついて尚且つ体重をかけてきている。重い。
「第一、室内でマフラーなんかしないよ」
『それもそうだね。ストーブの前にでも行ったら?』
「やだ。キミとくっ付いていたいんだ」
ぎゅうっと強めに抱きしめられてぐぇっと変な声が出た。クスクスと悟天が笑ったから悟天の手を抓ってやった。
悟天は痛いよ〜と絶対痛がってないだろう声を出してさらにきつく抱きしめてくる。
『……どうしたの?なんかあった?』
「…キミがかまってくれなくて寂しい」
『もうちょっとだから待ってて』
「ねぇ、なんで恋人より課題を優先するの?僕のこと嫌い?」
消え入りそうな声で悟天が尋ねる。
あぁもう、それってホントズルいよね。そんな声出されたら何もかも投げ出して悟天の方へいってしまう。
私は静かにシャーペンを置くと首だけ動かして軽く悟天の頬にキスしてやった。一瞬で悟天の顔に笑みが広がる。
「僕を優先してくれるの!?」
『今日だけね』
「やったぁ!じゃあ今かまってくれなかった分チューしよう」
『はぁ?嫌だよ。そんなにキスしてどうするの』
「どうもしないよ。僕がしたいんだ」
クルンッと悟天に身体を反転させられて向かい合う形になる。
ね?とやけに色っぽい瞳を向けられてうぐっと口を噤む。
また出た、悟天の反則技。
その瞳は本当に駄目。何も抵抗できなくなる。
ゆっくりと悟天の手が伸びてきて頬を撫でた後、私の腰を引き寄せる。
その腕は逞しくてまた胸が高鳴った。
ゆっくりと顔が近づいてきて優しく唇が触れる。それはすぐに離されて悟天の小さな笑い声が聞こえた。
「ドキドキしてる?」
『…うるさい』
ボフッと悟天の胸板に顔を埋める。頭上で可愛いなぁ、なんて言葉が聞こえてきてまた恥ずかしくなった。
「なんだかポカポカしてきたね」
『そう、だね…』
ポカポカじゃなくてドキドキでしょ。
言わなくても伝わるだろうから小さく微笑んだ。
反則彼氏
(ところで悟天、課題は?)
(…えっと)
(……はぁ。手伝ってあげるよ)
(ホント!?大好き!)
お調子者の悟天くんでした!
雪