旧拍手

□〜8月13日
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暑い。ヒジョーに暑い。

天気予報によると今日は猛暑日になるらしい。
そりゃそうだ、朝からこんなに暑いんだもん。

ふへーっと扇風機の前でダラダラしているとパッと目の前にオレンジ色。




『って、ちょっと!扇風機の前に立つな!暑い!どけ!』

「へっ、あ、わ、悪りぃ悪りぃ」




へへへ、と頭を掻くのは宇宙最強の男、孫悟空。

悟空はよいしょ、と扇風機の前からどけて私の隣に座る。

私より座高の高い悟空を見上げると目があって、何か話そうと口を開く前に塞がれた。

え、なに、突然!?




「あめぇ…。おめぇ、さっきまで何か食ってただろ」

『アイス。苺ミルク味』

「へぇ…。オラも食いてぇ!」

『ソーダ味なら残ってるけど、食べる?』

「食う!」




年甲斐もなくはしゃぐ悟空に笑みをこぼし、冷蔵庫へ向かう。

どこにしまったかな〜、と冷蔵庫を覗いていると後ろから悟空も覗き込んだ。




「うひょ〜、涼しいなぁ」

『冷凍室だからね。それよりあったよ、悟空』




ソーダ味のアイスを渡そうと振り返ろうにも悟空がかなり密着していて身動きがとれない。

サンキュー、と悟空は後ろからそれを受け取り袋を開けた。
かと思うと、私の口に突っ込んでくる。




『がぼばっ!』

「…よし!」




何が、よし!だ、何が!
恨めしげに悟空を見るとスポッと抜かれる棒付きアイス。

この野郎、一体何がしたいんだ。




「うめぇか?」

『うめぇよ!なんなの、悟空』

「どれどれ」




オラも、と悟空が顔を近づける。
アイスじゃなくて、私に。

おい、まさか…待て待て。




『んぐ、むっ…』




案の定、キスされました。
悟空の手が私の頭を固定して、まるで口の中に残っているアイスを貪るように舌を暴れさせる。

そんなことしたって、もう食べちゃったよ!無駄だよ!




『ん、ぁ…ゃっ…ん…』

「んー…。苺ミルクの方がおめぇっぽい味だったなぁ」




唇が離れたと思ったらそんなことを言われる。

なに、私っぽい味って!私に味なんかあるかボケ!




「もっかい」

『ちょ、やだよ悟空、普通に食べっ…う、ちょっと待っ』




唇に冷たいアイスを突き付けられた。舐めろということらしい。

ニコニコと悪気のない顔で笑われて困惑する。なにこれ、本当ずるい。

こんな無邪気な顔して、やることやってんだよなぁ。

なんかムカついたからちょっと熱烈にアイスを舐めてみた。




『んむ、おっきぃ…』

「っ…」

『口の中に収まらないよ…』




我ながらかなり下品だと思う。
いやね、だって悟空がなんかソワソワしてるの面白くて。

意味深にそう台詞を零してみると悟空はゴクリと唾を飲んだ。




『ん…おいしい…』

「オラ、もう我慢できね…」




悟空はアイスを私の口元からどけると、私の唇に噛みつこうと口を開けた。




「おめぇが、食べてぇ…」




ピーピーピーピー


あと少しで唇に噛みつかれる!というところで、冷蔵庫が扉を閉めろと鳴いた。





暑いんだから程々に





(はい、残念。離れて)
(ちぇっ…なんだよ、ちゅーくらいさせてくれよ)
(したくせに…それ以上のこともしようとしたくせに…)
(へへ、なんでかわかんねぇけど、おめぇがオラの舐めてるの想像しちまってよ)
(…私のせいか)





お目汚し失礼しました!



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