旧拍手

□〜2月8日
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『はっぶしゅん!』

「ははは、なんだそのダセェくしゃみは」

『うー…だって、寒くなってきたんだもん…』

「抱きしめてやろうか?ほら、来いよ」

『大丈夫大丈夫!ベジットこそそんな格好で寒くないの?』

「そんな格好って…いつも俺はこの道着着てんだろ」

『そうだけどさぁ…。かなり寒くなってきたよ…。この時期は風邪ひきやすいんだから気をつけ…』

「俺が風邪ひくと思うか?」

『思わない』

「即答だな…。ま、そういうことだ」




だから気にすんなよ、と屈託のない笑顔で言われ私は押し黙った。
ま、この人は今大好きな修行とやらをやってるからそんなの気にならないと思うんだけどさ。

一応私はあんたの恋人って位置づけなんですけど…。
恋人放っておいて修行ってなんなんだよ、馬鹿かよ。

やっぱり抱きしめてもらえば良かったかな、なんて。
ムスッとして彼を見ると彼は実に楽しそうに私を見ていた。




『……なに?』

「抱きしめてもらえば良かった、って顔に書いてあんぜ?」

『へ?いや、そんな馬鹿な…』

「もう一度言うぞ?……来いよ」




やけに色っぽい瞳と声で言われて、私は誘われるままにベジットに近付く。
おそるおそる抱きつくと彼は笑って私をぎゅーっときつく抱きしめてきた。




「はー…やっぱお前はあったかいなー…」

『ん…ベジットも、あったかい…』

「…なぁ、キスしようぜ」

『なに、急に…?甘えたくなっちゃった?』

「…まぁ、そんなとこかな」




なでなでと私の腰を撫でる手がなんとなくやらしい気がするがまぁ良しとしよう。

私は目を瞑って、小さく顔を上げた。
それにベジットは不意をつかれたようで、腰を撫でている手が一瞬止まる。珍しい。

私は片目を開けて、ニヤリと笑ってみた。




『ちゅーしないの?したいんでしょ?』

「っ、あ、あぁ…」




寒さなのか照れなのか、頬をほんのりと赤くしたベジットの顔が近づいてきて私はまた目を瞑った。

ふわり、と優しく唇が触れてそのまま彼は私の下唇を小さく吸う。
その行為に笑いが漏れると彼はちょっとムスッとして、それにまた笑った。




『ベジット、なんだか子供みたい』

「…抱きしめて欲しいって顔してたお前も子供みたいだったぞ」

『……ねぇ』

「ん?」




漆黒の瞳と目が合って、一瞬言葉を発するのを躊躇ったけど…ここは恋人として言わなきゃならないと思う。




『私、もっとベジットと…イチャイチャしたいよ』







突然のデレに、タジタジする彼氏







「!?!?え、なんだ、急にどうしたんだ…!?」

『修行ばっかしないでよ。私のことも、少しでいいから、気にかけて欲し…んぐっ!?』

「頭打ってないか?熱は?」

『ちょ、ベジット、そんな強く抱きしめないで、苦し…ってか酷いこと言われてるよね私』

「寒すぎて頭おかしくなっちまったか?もっとくっ付け」

『は?頭おかしいのはそっち……あれ、ベジット顔赤くなってるよ?熱あるんじゃない?』

「ニヤニヤすんなこっち見んな」





ベジットだって照れるんだ!





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