旧拍手

□〜5月24日
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『うぉぉぉぉ!桜が咲いてやがる!』

「ははっ、そんなに驚かなくても。桜なんてその辺にいっぱい咲いてるよ」

『うるせぇ!桜が咲いてるだけで気分は上がるもんなんだよ!』

「もー、女の子が使うような言葉遣いじゃないなぁ。ま、そんなところも好きなんだけど」

『…お前は相変わらず恥ずかしい奴だな』

「わー、ありがとう!」

『褒めてねぇよ!』




外は満開の桜。
それはしばらく先まで続いていて感嘆の声を漏らすと悟天は苦笑いしながら私の手を繋ぐ。

それにちょっとドキッとしながらもわたしは小さく握り返した。




「君と桜を見に来るの、毎年恒例になってきたね」

『そうだな。ほら見ろよ、あの木の桜一番凄いんじゃないか?』

「ホントだ!君みたいに綺麗で、堂々としてるね」

『……い、息を吐くみたいに変な言葉を言うな…』

「あ、照れてる?可愛い〜」

『照れてない!いいから、早く行くぞ』




スタスタと桜並木を歩く。
悟天はクスクス笑いながらも私の歩く速さに合わせてくる。

いちいちイケメンめ!




「そうだ!ねぇ、折角だから桜が見えるカフェでまったりしない?」

『ん。いいぞ、別に』

「やった!あそこの店員さん美人が多いんだよね〜」

『やっぱやめる』

「ウソウソ!ははは、ボクには君しかいないって」

『ウソくさいな』

「これはウソじゃないって!もー、君って言葉だけじゃ足りない子なの?」

『は?何言って…んっ!?』




どういう意味だと顔を上げると悟天の顔がずっと近くにあって、ムニッと彼の唇を押し当てられた。

どこにって?もちろん私の唇にだよ!




『んっ、やめ、ろ…このっ…んん』

「んー…。へへ、やっぱ可愛いなぁ…もう一回」

『んぐっん…こ、殺すぞ!!』

「君には無理無理。君が心底ボクに惚れてるの知ってるし…サイヤ人に勝てるわけないでしょ?」

『お前の…そういう意地悪なとこ…嫌いだ…』

「そう?そんなに嫌がってないように見えるけど」

『嫌いだっ!』




顔が熱い。
嫌がってないさ。お前のこと、本当に好きだから。

けど、そんなこと口に出せるわけねぇだろ。
恥ずかしすぎて死にそうだ。




「そんな酷いこと言われるなんて思わなかったなぁ…。悟天、泣いちゃう!」

『…はぁ。もういい、早くカフェに行くぞ』

「え!?いいの?行ってくれるの?」

『お前と一緒なら』

「………そういうの、ホンッット…ズルイと思う……」




悟天がボソッと何か言ったけど、私は気にせず前に進むのだった。





満開の桜と、君と、僕と、春





(…いくら美人が多いっていっても…あ、あんまり…余所見すんなよ)
(!…えっ、なになに聞こえない?もっとハッキリ言って?)
(聞こえてんだろ、てめぇ!!!!!)
(聞こえてない聞こえてない!君が顔を真っ赤にして私以外見ないで、なんて言葉聞こえてない)
(そんなこと言ってねえ!あんまり余所見すんなって…!あ…いや、なんでもねぇ…)
(余所見なんてしないよ。不安がってる君も可愛いね)
(黙れ!!!!)






きっと悟天には何もかもお見通しなんでしょうね!




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