FINAL FANTASYV*

□夢で逢えたら
2ページ/6ページ


俺が目を覚ました時にはすでに何日も経っていた。

最後まで寝ているもんだから、このまま死ぬのかと思ったって涙目のアルクゥに言われたっけ。

一瞬、何が起こっていたのか理解できなくて

きょとんとした顔で辺りを見回してたら、もやもやしていた記憶がはっきりと甦った。


それと同時に、燃えるような感情に襲われて

勢い良く起き上がったのに、身体は言う事を聞かなくて。


その時の俺を色に例えるなら

【赤】

激しい怒り。

【青】

深い哀しみ。

そして

【白】

どうしようもない虚無。

複数の色が混ざりあって、もう訳が分からなくなった。

ただ一つ、はっきり分かったのは

…守れなかった、事実。


流れるような金色の髪、華奢で透けるような白い肌
柔らかく頬笑みながらも、憂いを帯びた表情。

彼女に出会った時、俺の中に何かが走った。

今まで感じたことの無い、何か。


一緒に行動する事になるのを、心のどこかで望んでいたのかもしれない。

洞窟と神殿だけなら、守り切れるだろう、と。

根拠の無い自信を振り翳して。


もし俺に未来を読む力があったとしたら、仲間にする事を拒否しただろうか。

それとも未来を捻曲げて、どうにかしてでも彼女を守り切っただろうか。


今更こんな事を考えたって、どうにもならない事くらい分かってる。

もう二度と、彼女は。


「…くそっ」


足元にあった小石を蹴飛ばす。

こつん、こつん、と大きくバウンドしていたが、やがてこん、こん、と間隔は小さくなり
少し先の所で、止まった。

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ