LONG STORY

□序章
1ページ/1ページ


─前略─

私は今から、私が出会った、ある錬金術師の女の子について記そうと思う。



彼女はとても小さいのにとてもませていて、大人ぶった振る舞いには微笑ましいものがあった。

そういうと、いつも顔を真っ赤にさせて怒り出すのだけれど。


曰く、「僕は君よりもうんと長い時間を生きてきた」のだそうだ。


そうそう、彼女は女の子のくせに、自分の事を僕と呼ぶ。

別に悪いと言っているわけではない。むしろ、彼女にはぴったりだと思う。

彼女は少しずれているのだ。いわゆる、「天然」というやつかな。


普通の、そこらにいる貴族達と比べても飛び抜けて頭が良かったし、身軽で木登りや虫が好きだった。

ふっくらとしたお嬢様達に、「レディのくせになんてはしたないの」なんて言われたら、「そのはしたない僕よりも頭が悪くて鈍臭いのはどこの誰かなあ?」なんて言ってみせる。


私は彼女と出会って間もないけれど、彼女と10年来の友人であるグレンは彼女を「不老不死」だと言っていた。

グレンはあまり冗談を言わないから、きっと嘘ではないのだろうね。


もしも本当だというのなら、彼女は本当に長い年月を生きてきたのだろうか。

これはきっと、誰にも答えられない問いなのだろうね。


だから私は、ほんの興味本位ではあるのだけれど、彼女を観察することに決めた。


これから共に過ごしてゆくだろう長い年月の中で、彼女は本当に「不老不死」なのかを見極めようと思う。


─中略─
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ