LONG STORY

□嫌われ者の末路。
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パンドラの本部の、三階の窓から下を覗いてみると、オズが死んでいた。

何故かというと、当たり所が悪かったからだ。

それは何故かというと、三階の窓から落ちたからだ。

それは何故かというと、私が突き落としたからだ。

それで、何故突き落としたのかというと、オズが、私を愛してくれないからだった。


私はオズを愛していたし、それは何故かというと誰からも嫌われる私を好きになってくれたからで、でも、オズは死んでしまった。

頭から血が出て、骨はあちこち折れてるのか体は拉げていて、見開いた瞳は多分私を見つめている。

信じられない、と。

いっているようだった。

オズはもう喋らなくなってしまったけれど。それは何故かというと、私が殺して、私の手によって、私の影響で死んだからだった。


そもそも、悪いのはオズだった。

私は誰よりもずっとオズを愛していて、ずっと私だけを見て私のために生きて私のためだけに死んでほしかったのに、私よりも好きでいてくれる人の多いシャロンやアリスやギルバートと

ばかり話して、見て、私はその輪に入れないというのに、オズはいつも楽しそうだった。

私は全然楽しくなかった。オズは私だけを見ていればよかった。そうでなくとも、私を愛して慈しんでくれれば良かった。きっとそうすれば幸せだった。皆。

例えば、並んで歩くときには手を繋いで、もちろんでかけるときは二人で、時々抱き合ってオズの心音を感じたかった。

ただ私は、オズを愛していたから私もオズに愛されたかっただけで、何も悪いことはしていないのだ。

私はきっとオズに愛をささやかれて、私もオズが大好きよと、きっとそう答える筈だったのだ。

一つのマフラーを二人で分け合って、顔を見合わせてくすくすと笑いあう筈だったのだ。オズは私を愛する筈だったのに。

寒い夜にはベッドを分け合って、頭を撫でてもらって抱きしめて貰って幸せに眠る筈だ。アリスの記憶なんてどうでもいいから、ずっと私と一緒に居たいと、そう言って微笑む筈だ。


そして何故私が急に、オズを殺したくなったのかというと、此処の所オズが冷たくなっていたのは知っていたけれど、今日急に、鬱陶しいと、そう言われたからである。

私が愛しているオズがそんなことを言う筈がないから、殺した。

殺したら、私を愛しているオズがきっと生まれてくるだろうと思ったから、殺した。


徐々に、オズの体は冷たくなりつつあるのだろうけれど、私は新しいオズが生まれてくるのを見届けて今度こそ私を愛してくれないと困るから私だけを見て生活できるところに一緒に行こうと思っていた。

そして今度こそ愛してもらうのだと。抱きしめてもらってキスしてもらって、気が早いかもしれないけれど子供が欲しい。そうすれば尚更オズは私から離れられなくなる。

そして今度こそ幸せになろう、オズと。


冷たくなったオズの体に、死体に、わらわらと蛆虫が集まってくる。アリスとか、シャロンとかギルバートとかだ。

オズはもう死んでいるから、そろそろ生まれて来るはずなのだ。まだかしら、まだかしら、気が急いてたまらない。

そして、とうとう生まれてくるだろう、そう思ったから、私は新しいオズが取られてしまう前に、抱きしめに行かなくてはならないと思ったから、窓枠に足を掛けて死体まで行こうと思った。

とん、と。ばからしい音とともに私の体は、オズが愛してくれる私の体は、宙を舞った。あら、地面が近いわ、そう思った、時、蛆虫が変な、まるで私を憐れんで嘲るかのような顔で、私を

見ていたのがわかったとき、私は死んだ。

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