silver

□darling。
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ねぇねぇ


darling。





私の彼はマダオです。



あ、マダオっていうのは、

まるで、
だめな、
おっさん

の略です。


でもさすがに私としても彼氏がおっさんっていうのはちょっと…って感じなので…おとこ…にしとこうかな。


まるで、だめな、おとこ、

それが私のダーリンこと、坂田銀時です。



今だってほら、テレビつけっぱなしだし、読んでたであろうジャンプを顔に被せてソファで寝ちゃってるし。


……って…あんまんでも買いに行ったのかな?防寒具そこら中に散らばってるし…。
もう…誰が片付けると思ってるんだか…。


「……はぁ…。」


そんなこと考えてると自然とちょっとため息が出てしまう。



「…う〜ん………」


マダオなダーリン、銀さんがかすかに呻きながら体をもぞっと動かす。


私はといえばそんな銀さんの周りでせっせと散らばっているものを拾っていく。


「……どんな夢みてんのかな…」


夕方のニュースが流れ始めているテレビの電源を切る。


すると途端に部屋の中に銀さんの安定した寝息の音だけが響くようになる。



…スー…スー…



気持ちよさそうな寝息に私は銀さんが寝ているソファの横に膝をついて彼を覗き込む。

とは言っても彼の顔の上にはジャンプが乗っているため彼の寝顔は見えないんだけども…。


私はゆっくりとジャンプに手をかけ持ち上げた。


するとジャンプの下からはいつもの死んだ魚のような瞳ではなく、あどけないんだか、かわいいんだか、綺麗なんだか、かっこいいんだか……。
とにかく私の大好きな彼の寝顔が出てきた。



…スー…スー…



ジャンプをどかしても起きるどころかまだスースーと寝息を立てている銀さん。



銀さん…彼…ダーリン…。



とにかくこの人が私が好きになった人。




……なんで好きになっちゃったのかな?



なーんて疑問をあげたところで好きなのだからしょうがない。



「……好きになっちゃったんだもん。」



銀さんのもふもふな天パをできるだけ優しくなでる。


「……ねぇ、どんな夢見てるの?」


って頭を撫でたまま小さく囁いてみる。


「……………」


やっぱり返事は寝息だけで返ってこなくて、ふとなんだか寂しくなる。


「……早く起きて私のこと構ってよ…アホ天パ…」


ってさっきよりもうんと小さく囁いて大好きなダーリンのおでこにキスを落とした。

こんな時間も幸せのうちなのかな……。

なんてことを考えて彼のおでこから顔を離して彼の顔を見た瞬間、彼の口元。口角がゆっくり上がった気がした。


なんで?と頭が考えるよりも先にぐいっと背中から何かに押され銀さんの上に上半身だけ斜めに覆いかぶさる体勢になる。


「!」


「…なんなのお前…人が寝てるってーのにそんな可愛いことしてんじゃねーよ。銀さん我慢できなくなっただろーが」


聞きなれた声に彼の顔を見るとパッチリと目をあけて少しあきれたような困ったような顔で私を見つめていた。



「い…いつから起きてっ…」


「ん〜?お前が入ってきたときから」


「最初からじゃん!なんで寝たフリしてたの!?」


「あー?お前が可愛いから。」


「答えになってません」




とにかく離してと彼の腕の中でもぞもぞと動いてみるががっちり捕まってて離してくれそうにない。


「んだよ…お前が可愛い声で構って、ていうから構ってやってんだろォ?」


なーんて私の反応を楽しむようにニヤニヤしながら言う銀さん。


本当に起きてたのか


その言葉に途端に顔が熱くなる。


「う…うぅ…うるさい…///」


「そんな顔すっと、ちゅーすんぞ」


「!?///なんでそーなるの!?///」


「はいはい、わかったから黙ってちゅーされとけ…」

「ちょっ…ん…///」


後頭部を手で押さえられて銀さんの唇が重ねられる。


触れるだけのそれは、ものすごく甘く感じた。




「…ねぇ銀さん」


唇が離され私は銀さんに声をかける。


「…ん?」



「……もう一回」


「クス……はいはい」






また甘い、でも長いキスを交わした。























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