Blessing
□序章
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そんなある日。
いつものように石を運んでいた時、指揮官たちが話していたのを耳にしてしまった。
「おい、この前入ってきた、“スコタージ”って奴いるだろ?」
「俺は知らねぇな。そいつがどうした?」
「そいつな、王女様の双子の弟らしいぜ…。」
「王女様って、あのサラサ王女様の…!?」
「そうなんだ。
ほら、双子の下の奴は呪われた子だって伝承があるだろ?
その呪われた子ってのが、そいつらしいぜ…。」
「マジかよ…。
そいつにあまり関わらないようにしておこう。」
「その方がいい。呪われるぞ。」
その会話から、やっぱり僕は生まれた時から呪われていた、という現実を知った。
双子の下の子はなんとか…とか言う伝承は勿論知らないが、呪われていたという結論さえわかれば、十分だった。
また、僕には、双子の姉がいるという真実がわかり、しかも、そいつは王女様であることもわかった。
王女様は、どういう人物なのかは知らない。
だが、あの傲慢な指揮官たちが“様”をつけて呼んでいるほどだ。
きっと、指揮官たちよりも身分が上で、世の中の幸せを沢山受けているに違いない。
許せなかった。
地獄しか見たことのない僕の姉は、指揮官に“様”をつけられるような高い身分で過ごしている…。憎い。姉が憎い…。
自分を殺すことは何度も考えたけど、他人を殺そうと思ったのは、この時が初めてだった。