小説
□nic
1ページ/1ページ
監督と一時を過ごし、神童の家に来た俺達はまた悩みだした。
「なぁ、霧野?」
「何だ神童?」
疑問を疑問で返したが言いたい事は分かる
「恋文の書き方分かったか?」
ほら来た
監督と一緒に遊んでた俺に聞か無くても分かるだろうに
「全然」
取り敢えず神童の疑問に然も当たり前の様に答える
「だよなぁ」
段々声のトーンが小さくなるのは気のせいだとしても、明らかに沈んでいる感じだ。
「まぁ、ラブレター何て自分の気持ちをそのまま書けば良いんじゃ無いの?」
今
俺良い事言ったんじゃねぇ
とか
自分で思っている内に神童がペンを取り出して書き出した
ラブレターでも書く気になったのかと思い
暫く待つと
ペンを置いた神童が俺に紙を見せて来た。
「気持ちをそのまま書いてみた」
真剣な眼差しで此方を見ている神童に俺はその紙を突き返した
「監督に読んで貰う為の物だろ?」
後半少し疑問を抱きながら言ってしまったが、神童はもう一度俺の前に紙を差し出した。
「試作品だ」
ラブレターに試作品何て有るものかっっ
と突っ込みたい気持ちを押さえて
取り敢えず紙を受け取って読んでみた。
『円堂監督へ
俺は監督が好き過ぎて監督のピー-----にピー----してみたり、監督とピー-------以下略』
言葉が出なかった
紙を置いて神童の方を見たが
多分俺の目は死んだ魚みたいになっているはずだ。
「どうだ霧野?」
俺の死んだ目にも気付かずそんな事を聞くお前は凄いと思う
なんて言えず
「監督にはもう少し柔らかいラブレターのが良いんじゃ無い」
口から出た精一杯の言葉だ。
「そうか、もう少し柔らかくか・・・分かった有難なっっ、霧野」
そう言ってまたペンを握りだした神童を置いて、俺は神童家を出た。
これ以上読んだら
俺が耐えられない。
††††
次の日
「霧野、恋文ってどうやって渡せば良いんだ?」
朝一番に聞いた神童の声がこれだ。
「下駄箱とかに入れて置くんじゃねぇの?」
俺もやった事が無いので
疑問系で返してみた。
「下駄箱かぁ、分かった有難う」
そう言って笑顔で走り出した神童が、円堂監督の下駄箱の場所が分からず戻って来るまで
あと
十八秒・・・・・・。
††††††††††††††