小説

□nic
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監督と一時を過ごし、神童の家に来た俺達はまた悩みだした。

「なぁ、霧野?」

「何だ神童?」

疑問を疑問で返したが言いたい事は分かる

「恋文の書き方分かったか?」

ほら来た
監督と一緒に遊んでた俺に聞か無くても分かるだろうに

「全然」

取り敢えず神童の疑問に然も当たり前の様に答える

「だよなぁ」

段々声のトーンが小さくなるのは気のせいだとしても、明らかに沈んでいる感じだ。

「まぁ、ラブレター何て自分の気持ちをそのまま書けば良いんじゃ無いの?」


俺良い事言ったんじゃねぇ

とか
自分で思っている内に神童がペンを取り出して書き出した

ラブレターでも書く気になったのかと思い
暫く待つと
ペンを置いた神童が俺に紙を見せて来た。

「気持ちをそのまま書いてみた」

真剣な眼差しで此方を見ている神童に俺はその紙を突き返した

「監督に読んで貰う為の物だろ?」

後半少し疑問を抱きながら言ってしまったが、神童はもう一度俺の前に紙を差し出した。

「試作品だ」

ラブレターに試作品何て有るものかっっ
と突っ込みたい気持ちを押さえて
取り敢えず紙を受け取って読んでみた。

『円堂監督へ
俺は監督が好き過ぎて監督のピー-----にピー----してみたり、監督とピー-------以下略』

言葉が出なかった

紙を置いて神童の方を見たが
多分俺の目は死んだ魚みたいになっているはずだ。

「どうだ霧野?」

俺の死んだ目にも気付かずそんな事を聞くお前は凄いと思う

なんて言えず

「監督にはもう少し柔らかいラブレターのが良いんじゃ無い」

口から出た精一杯の言葉だ。

「そうか、もう少し柔らかくか・・・分かった有難なっっ、霧野」

そう言ってまたペンを握りだした神童を置いて、俺は神童家を出た。

これ以上読んだら
俺が耐えられない。



††††

次の日


「霧野、恋文ってどうやって渡せば良いんだ?」

朝一番に聞いた神童の声がこれだ。

「下駄箱とかに入れて置くんじゃねぇの?」

俺もやった事が無いので
疑問系で返してみた。

「下駄箱かぁ、分かった有難う」

そう言って笑顔で走り出した神童が、円堂監督の下駄箱の場所が分からず戻って来るまで

あと


十八秒・・・・・・。




††††††††††††††

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