小説

□依存性
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「円堂監督。今日、一緒に花火見に行きませんか?」

それは
前触れも無く教え子、霧野蘭丸から発せられたお誘いだった。

「花火?祭りにでも行くのか?」

この近くにある祭りの事を思いだしたので聞いてみた。

「はい、そうですよ。」

俺の問い掛けに万勉の笑顔で霧野が答える。

「皆で行くのか?」

俺が訪ねると、さっきまでの笑顔が消えて不機嫌まる出しなオーラが霧野を包む。

「デートのお誘いだったんですけどっ」

「えっ!?」

霧野の言葉に驚いて聞き返してしまった。

「守さん、俺とのデート嫌ですか?」

まだ、数回しか呼ばれて無い名前を呼ばれて
自分の頬が暑くなるのを感じた。

「嫌じゃ無い・・・です」

暑くなった頬を隠したくて
霧野の顔が見れず、言葉も変になってしまう。

「じゃ、早速行きましょうか」

そう言って
俺の手を包みこむ様に握り、また口を開いた。

「守さんとの初デートに」

聞いた瞬間
自分の頭から湯煙が出るんじゃ無いかって位に暑くなった。

十も年下の教え子に惚れた何て、俺はどうかしてるのかも知れない。

でも
霧野の手から伝わる体温が暖くて、俺の気持ちを心地良させる。


この手を離したく無いと思ってしまう程に


俺は
霧野に依存しているのかも知れない。






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