小説

□熱注意報
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頭がくらくらする

身体がダルい

そぅ感じたらアウトだ。



「神童っ」

朝練の最中に円堂監督にいきなり呼ばれた。

少し焦ったような声で


「どうかしました?」

監督の声が気になって急いで監督の方へと駆け出す

その際
少しクラッと来たが、無視だ。

監督の近くへ行くと
自然な動作で監督の手が俺の頬に触れる

冷たくて気持ち良い・・・・

そんな事を考えていたら
額にこつんと何かがぶつかった。

それを確かめる為に瞳をそちらに向けたが
失敗だった。

両目を瞑った監督が、俺の額に自分の額をくっ付けていた。

認識したとたんに
顔が赤くなっていくのが分かる。


「やっぱり」

監督は、そう言って
俺の方を苦しそうに見た。


「監督?」

訳が分からず、確認を取る様に呼んだ。

「神童、今日は帰れ」

監督の一言が信じられず
一瞬固まってしまった。

しかし
監督の言葉を理解すると同時に、自分の中で熱い何かが沸き上がる気配がした。

これは何時もの脆い線が切れる感じだ。

気付いたら
両目から雨の様に次々と涙が出てくる。

監督から
要らないと言われた様な気がして、止まらない涙

俺が泣いてると認識した監督は、おろおろとしながら口を開いた。

「そんなに辛いのか?其ともどこか痛いのか?」

また何か言われると思った俺の予想を裏切って
検討違いの言葉が監督の口から出た。
俺の頭をそっと撫でる手は、優しくて落ち着く

「音無、悪ィけど神童を家まで送って来るっ」

監督の手に癒されていると、そんな会話が聞こえ来た。

「行くぞ」

音無先生の返事を待たずに円堂監督は、俺の手を引いて歩きだす。

「監督?」

引かれた手から熱が伝わって来る。
それに戸惑いながらも口を切る

「神童、熱あるのに無理して練習出ないでくれ」

「えっ!?」

喉から絞り出したような悲しそうな声で言う監督の言葉に驚いて思わず口を切る

「気付いて無かったのか?」

俺の方を不思議そうに
小首を傾げて問いかけてくる

その仕草が可愛くて、思考が停止しそうだったのを必死で抑える

「確かに、自分自身だと気付き難いよなっ」

苦しそうな笑顔を向けて来る監督
思わず、繋がっている方の手を自分の方へと引き寄せて
自分より大きな監督の身体を抱き寄せた
正確には、抱き付く形になっているが・・・・

「大丈夫です。寝ていれば、明日にはちゃんと治ってますから」

言うと同時に
監督の唇へと吸い付いた。

一回だけでは足りず
角度を変えて何回も繰り返しす

はっとした時には時遅し
酸素を求めている監督と目が合い
また、触れるだけのキスを送る


円堂監督が心配してくれるなら
熱が出るのも悪く無いかもしれない・・・・



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