長編
□第一幕「エミュリエールの歴史はここからはじまった!」
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正門前には当たり前のように警備員がいて。こりゃ確かにお金持ち学校だ。
しかも正門から校舎がとんでもなく遠い。なんて学校だ。
とりあえず登校時間で混み合う正門から一度離れて警備員さんとの会話を試みる。
「すみません…」
ギロリと睨まれるあたし。
「…あの転入生なんですけど」
「少々お待ちを」
あ、なんか、…怖かったあ…
電話でだれかを読んだ警備員さん。
「ただ今案内の者が来ますので。」
ペコと一礼してまた警備に徹する。仕事熱心なんだなあ…
待つこと5分(くらい)
「はじめまして、案内人をやっているエリカと申します。ご入学ありがとうございます。失礼します…」
失礼します?…え?
現れたかと思うと自己紹介だけしてあたしに手を伸ばすエリカさん。
「…ったあ…」
手を伸ばす、というよりは。殴られた、というかんじで口の中に血の味が広がった。
「…な、にするんですか!」
いきなり殴られて怒らないひとはいないとおもう。あたしも無論、怒るにきまってる。
「これ、プレゼント。舐めて下さい今すぐに。」
痛い痛いと頬をさするあたしにどうぞ、とだす手のなかにはキャンディー。
「……」
若干の不安を抱えキャンディーを口に入れた次の瞬間。