長編
□プロローグ 「序章ってヤツですね!わかります!」
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実はわたし昨日こくられたんだー。
そんな会話が後から聞こえてきた。あたしにはどうでもいい話。
昨日のドラマ感動したねー。
…そんな暇があるなら寝たい。あたしには関係ない話。
昔から何事にも無関心でよく姉が心配していた。
当時は何を心配されているのかまったくわからなくて平気で姉を殴ったりしていた。
ある冬の日。おじいちゃんから聞かされたバカみたいな話。最初はもちろん信じられなかったし信じようともおもわなかった。
「杏朱、おまえは魔法使いになりたいか?」
中学生になんてこと聞くんだ、そう思った。
おじいちゃんはミルクたっぷりのコーヒーを飲みながら続ける。
「実はうちの家系は魔法使いなんじゃぞ?」
子供みたく無邪気な笑顔を見せるおじいちゃん。
「おじいちゃん、頭おかしくなった?」
本心だった。
魔法使い?ハリーポッターでもあるまいしなにを、と思った。
「おかしくないぞ。本気じや。ワシはおまえの父さんとお前が14になったらこれを言ってもいいという約束をしてるんだ。」
あたしのお父さん。5年前にお母さんとお兄ちゃんと事故で死んだ、らしい。
「あたしは、お父さんを覚えてないから。」
記憶、喪失ってやつだ。お姉ちゃんは昔のことを話してくれない。