ストーリー

□かれぺSS(12月.1月)
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■12/24:若凪の部屋(side:深紅)■
年甲斐にもなく、心躍る衝動に駆られていた。
時計は間もなく11時。
若凪はまだ布団の中だ。
今日のために、深夜まで仕事をし、帰って来たのは朝方。
「そろそろ起こすか…」
プレゼントを手に、若凪の部屋の前へ。
軽くノックしてドアを開ける。
そっと近づき顔を覗き込むが、予想通り眠っている。
そっと左手を取りプレゼントを……
「ん……?」
「若凪?」
「……しんく?」
「もうすぐお昼だよ」
「ん〜…」
「あ、起きた?おはよう」
「おはよ…」
もそもそと腕を出し、目を擦る様が可愛らしい。
「あれ?」
左手の違和感に気付いたようだ。
「……指輪?」
ピンクゴールドのリングに小さなルビーを埋め込んだデザイン。
若凪をイメージしたリング。
「サンタさんからのプレゼント、かな?」
「ぇー……」
焦った。全然嬉しそうじゃない。
「わ、若凪?」
「サンタさんから、求愛されても、ね?」
左手の薬指、指輪に触れながら言った。
…………負けた。
「メリークリスマス、若凪。俺からのプレゼント、気に入ってくれた?」
「とっても素敵なプレゼントだね」
微笑む若凪が大好きで…思わず抱きしめる俺の首に、若凪はそっと腕を回す。
冷たい感触がした。
若凪を腕から解放し、胸元の違和感に気づく。
「メリークリスマス、深紅」
首から下がる、シルバーのロザリオ。
シンプルなデザインは、俺好みだ。
…………敵わない。
「若凪…」
もう一度抱きしめる。
『メリークリスマス…愛してる』
二人の囁きが重なった。


今宵の聖夜、愛する貴方と……
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