ストーリー

□かれぺSS(4月)
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■4/1:自宅(side:深紅)■
夕方、彼女と2人並んで座る。
「あのさ……」
「なぁに?」
夕食前の団欒。
「……」
「どうしたの?」
いざ言おうとすると緊張する。
「そろそろ……出て行こうかと、思うんだ……」
「え?」
ずっと居座り続け、今更の気もするけど。
「もちろん、今まで通りに……俺と付き合ってもらえれば嬉しい、んだ…けど……」
「……そう……住むところは?」
「ん?、今日、決めて来た。駅前のマンション」
「よかった、近くて……」
浮かない顔の彼女。
無理もない。
「あの、ね……いい機会だから…言うね」
「何?」
「実は……」
言い辛いのか、言葉を濁す。
「前に会ったよね、元彼。……連絡、取り合ってるんだ……」
「……」
衝撃を受けた。
邪魔が入らないように、俺を印象付けたはずだけど……
「っ……ごめん!」
急に謝る彼女。
いよいよフラれるか、そう思った矢先。
「やっぱり嘘なんてつけない!ごめんね、深紅……連絡なんて取ってないから!会ってもいないし、どうとも思ってないからね!」
必死だ。
「……嘘?」
「うん……だって……」
『エイプリルフールだから』小声で呟く彼女。
「ははは、よかった……本気にした……」
「ごめんってば!」
「怒ってない、俺も謝らないとな」
「何を?」
「ずっと、ここにいるから」
「え?」
訳がわからない、という顔。
「自分で言っただろ?」
「……エイプリル、フール……」
「そう。嘘だよ」
「なぁんだぁ……」
笑顔が戻る。
エイプリルフール。
誰が考えたのだろう?
恋人には無関係のイベントかもしれない。
愛の再確認には、いいイベントにはなる、かな?
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