ストーリー

□REINCARNATIO【レインカルナーティオー】―転生―
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――プロローグ――

 今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。
 野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。
 名をば、さぬきの造となむいひける。
 その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。
 怪しがりて、寄りて見るに、筒の中光りたり。
 それを見れば、三寸ばかりなる 人、いとうつくしうてゐたり。
 翁、言ふやう、「我、朝ごと夕ごとに見る竹の中におはするにて、知りぬ。子となり給ふべき人なめり。」とて、手にうち入れて、家へ持ちて来ぬ。
 妻の嫗に預けて養はす。
 うつくしきこと限りなし。
 いと幼ければ籠に入れて養ふ。
 竹取の翁、竹を取るに、この子を見付けて後に竹取るに、節を隔てて、よごとに金ある竹を見付くること、重なりぬ。
 かくて、翁、やうやう豊かになりゆく。
 この児、養ふほどに、すくすくと大きになりまさる。
 三月ばかりになるほどに、よきほどなる人になりぬれば、髪上げなど相して、髪上げさせ、裳着す。
 帳のうちよりも出ださず、いつき養ふ。
 この児のかたちけうらなること世になく、屋のうちは暗き所なく光り満ちたり。
 翁、心地あしく、苦しきときも、この子を見れば、苦しきこともやみぬ。
 腹立たしきことも慰みけり。
 翁、竹を取ること久しくなりぬ。勢ひ猛の者になりにけり。
 この子いと大きになりぬれば、名を、三室戸の斎部のあきたを呼びて、付けさす。
 あきた、なよ竹のかぐや姫と付けつ。
 このほど三日うちあげ遊ぶ呼び集へて、いとかしこく遊ぶ。
 世界の男、あてなるもいやしきも、いかでこのかぐや姫を、得てしがな、見てしがなと、音に聞き、めでて惑ふ。
  ――竹取の翁より


 遠くで聞こえる声。
『また会おう』
 ――誰?
『愛してる』
 体が重く動かない。
『待ってる、何年経っても』
 これは……夢?
『必ず見つけ出すから』
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