Baseballers
□猫☆猫T[seal]
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校庭の隅にしゃがんでじっと一点を見つめているのは御柳だった。
「……何やってんだお前」
「───んー…」
ぱちん、と膨らませたガムを割り、御柳が指差した先には、
日向で微睡んでいる猫。
「…猫」
フェンスで区切られた先は日向で、御柳が指差した猫は気ままに伸びをしたり仰向けに寝転んだりしている。
「可愛っスよねー」
へら、と帥仙に笑いかける。こんな無邪気な表情は見たことがない。
「…ああ」
思わず頷いてしまう程、無垢な笑顔。
自分の世界を信じきっている子供のような。
「猫になりたい」
御柳は呟いた。
「何でだ?」
「いや理由はないスけどぉ」
ガムを噛みつつ言う。
「何かいいじゃないスか、猫」
「犬はどうだ?」
「犬?駄目スよ、犬なんか」
御柳は吐き捨てる。
「やっぱ猫スよ」
猫は眠ってしまった。気持ち良さそうだ。